JZX100系Chaserのポジションランプ車体の前後方向中心線から光軸がおおよそですが20度ほど外向きにずれています。ポジションランプをLED化する際にはこの角度を考えないと斜め前から見ると明るいけれど正面から見ると暗いものになってしまいます。ただし、電源を供給する線のどちらがプラスでどちらがマイナスかを確認しておけばLEDの取り付け角度を調節することにより正面を中心とした配光にすることが可能となります。
オークションを見るとリフレクターを十分活用するようにLED先端を円錐状に切り込んだものやφ3のLEDを9個使用したものが出品されていますが、前者は高輝度LEDを使用しているとはいえ1個では十分明るいとはいえません。たしかに反射板には光がまんべんなく届くでしょうが如何せん絶対的な光量が不足しています。
後者はNSPW-300BS φ3 25度 Sランク 4600mcdを使用していると仮定して単純計算で中心部は41400mcdありますが、光の広がり方がやや不足しているのとポジションランプが車体外側に向いて取り付けられているのでやはり車体正面から見るとそれほど明るくないのでは?と思います。
じゃあついでだから自分で作っちゃえ!と言うことでついでに設計を進めてみようと思います。
使用している球はウエッジタイプT10 5W 2000mcdが基本になりますが、最近のハロゲンガスを封入しているタイプだと4000mcd程になります。
まず、使用している球の寸法を計測するとこの大きさのままでは明るいものになりそうにありません。幸いJZX100で使用しているポジション球を支える部分は電球よりも大きく直径で15mmあるのでLEDを配置した状態で最大15mmとなるよう設計することにします。オークションを見ると直径15mmのものも多数出品されているようです。
mcd | φ3 Rランク | φ3 Sランク | φ5 Rランク | φ5 Sランク | φ5 Rランク | φ5 Sランク | φ5 Rランク | φ5 Sランク |
照射角度 25度 | 照射角度 20度 | 照射角度 50度 | 照射角度 70度 | |||||
無加工 | 10個 | 4個 | ||||||
32,000 | 46,000 | 25,600 | 36,800 | 7,200 | 10,000 | 1,920 | 2,760 | |
小加工 | 5個 | |||||||
32,000 | 46,000 | 9,000 | 12,500 | 2,400 | 3,450 | |||
大加工 | 19個 | 7個 | ||||||
60,800 | 87,400 | 44,800 | 64,400 | 12,600 | 17,500 | 2,880 | 4,830 |
う〜む多数のLEDを使うのはいいですが、LEDの正面はまぶしすぎるかも・・・でも面白そうだから作ってみたい〜
光度はRランクの70度以外でしたら白熱球を上回ります。まあポジションなのでそれほど極端に明るいものは必要ないので自分の望む光度を得られる個数&角度を選択することになります。
明るくなるのはいいのですが、一応保安基準適合を目指した物を・・・と考えると角度の微調節は必須のようです。ポジションランプについての保安基準については車幅灯(ポジションランプ)をご覧ください。
とりあえずLEDがようやく手に入ったので製作することにしました。
使用したのは
NSPW-500BS φ5 20度 Sランク 9200mcd ×4
10DDA10 ×1
ユニバーサル基板(一部)
破損したLEDポジションのベース ×2
となります。
私の当てにならない?計算では発光はするけれど電流が不足するためあまり明るくならない予定なのですが…
一応定格通り電流が流れると仮定すると36,800[mcd]の光度になるようですが…実際はどうなんでしょう?
そういえばLEDの仕様書を見れば4個直列だとエンジンを掛けていても許容逆電圧の範囲に入っているようなので整流用ダイオードって必要ありませんでしたね。
正面から見ると右の画像のようになります。LEDが一方向に向いていないのは私の作り方が悪かったわけではありません…念のため。
上で述べましたがChaserのポジションランプは真正面を向いておらずLEDの取り付け方向に沿って光が照射されると車体正面からは点灯が確認しづらいのであえてLEDの方向をずらしています。
でも、基板むき出してかっこよくない…点灯中は見えないし消灯中もじっくり見ないと見えないから良いですけどね。
私の当てにならない計算が本当に当てにならないのかどうかを確認するためにオンボロテスターで電流を確認してみました。オンボロテスターなので誤差は多分に含んでいると思いますが、一応信頼できるとして…
確認ですがエンジン停止中では12[V]、エンジン運転中では約14[V]の電圧がバッテリー端子間に印加されていました。
エンジン停止中の電流を測定してみると…電流が殆ど流れていない(at 50[mA]レンジ)。これでは分からないのでレンジを0.5[mA]にすると0.47[mA]程(あまり詳しく見てませんでしたm(._.)m ゴメン)流れていました。
で、エンジン運転中に自作LEDポジションの片方をバッテリーの−端子に接続して+端子からテスターを介して電流を測定(at 50[mA]レンジ)してみると計測初期は約10[mA]ですが数秒〜十数秒経過すると13[mA]まで電流値が上昇しました。
LEDを点灯させた直後とその後の電流値に違いがあるのはLEDの自己放熱性によると言われています。詳しくは分かりませんが要は温度が上がると電流が増加すると言うことでしょう。
因みにこの電流値の計測方法はあまり正確ではないでしょう。でも、数10%の誤差を含んでいるとも思えません。
ん?と言うことは私の計算はまんざら間違っているわけでも無い…のかな?
右の画像はポジションをONにした直後…といっても30秒ほど経過していると思います。う〜むあまり明るくない…
オーディオQさんのHPを見るとLED4個直列接続だけ(抵抗も整流用ダイオードも定電流ダイオードも無し:計算上3.6×4=14.4となるため)だと半導体の特性からか電流は定格を越えてしまうので壊れないかどうか非常に不安です。車を使う用事があったので(雨も降っていたし)ポジションをONにしてしばらく走った後ポジションを見てみると…走る前よりも明るい!?
この理由は上でも話が出ましたが、おそらくLEDの自己発熱性と周辺温度によるものと考えられます。後者の方が割合としては大きいかな?走行によりエンジンルームの熱気がLEDにも伝わりLEDの温度が上昇すると電流が増加し光度が増加します。
また、念のためHIDもしばらく点灯させておきました。この熱のせいもあるかも?
車体正面でも点灯を確認できる構造というコンセプトの物なのでとうぜんLEDの方向は微調節をする必要があります。結構めんどくさいのですがきちんと行うと右の画像のようになります。
正面から見ても点灯が確認できるし、左右に移動しても保安基準で定められる範囲において点灯は確認できそうです。因みにウインカーポジションは約50%減光状態で点灯させています。
光度計を所有していたら具体的な数値を示すことが出来るのですが、所有していないためあくまで私の感覚になりますがこれだと真夏の昼間でも確認できると思います。しかもLEDを4個使用し角度を調節できるようにしたおかげでこれまで市販されているものと比べても広い範囲で高い光度を得ることが出来ます。
それにしてもしばらくすると明るくなるって古〜い家にありそうな電灯みたい(^▽^笑)変なもの作っちゃったかも?でも、明るくなってからの光度は私は充分満足できると思います。
テスターで確認した状態では定格を下回る電流しか流れていないのですがさらにLED温度が上昇したときに電流がどうなるのか?また耐久性は?と言う問題があるのでなるべくポジションをONにしてしばらく使用してみることにします。なにか問題があればHPでUpする予定です。
電流値は何が正しいのかわからなくなってきた…
一応私が行った簡易試験ではある程度計算の正確性が実証できた(=カタログスペックをそのまま受け入れられる)として温度上昇による電流増加を見積もってみました。私の実測によると今回20[℃]での電流は初期は10[mA]で数十秒経過すると13[mA]に上昇していました。間の曲線が無いので正確なところはわかりませんがおおよそカタログデータと似ていると考えられます。データシートのAmbient Temperature vs. Forward Voltage参照。
また、少し走ると光度が上昇しているのはLEDの自己発熱性と周辺温度上昇によるものと考えられ約40[℃]ではLEDに印加される電圧に変化が無い(整流用ダイオードで周囲温度による平均損失電力が分からない)とすると私が求めていた20[mA]の電流に近くなっています。使用限界温度は50[℃](一般的なLEDの寿命を全うする)と考えられます。
と言うことは消費電力の少ない(=発熱量の少ない)HIDの周辺ならば使用可能ですが白熱球(希ガスを含んだものを含める)の傍では寿命は極端に減少する、また近くにある程度の熱源が無ければ光度が大幅に減少すると考えられます。と言うことは殆どJZX100 Chaser Tourer series専用のポジションランプになりそうですね。
しばらく使用して問題が無ければご要望があれば製作に応じるかもしれません。お金の問題が絡むのでおそらく一旦オークションに出品して落札してもらうようになると思いますが…
その後オークションを見るとやはりと言うかφ5を4個使用したものが出品されていました。文章の下の方には知的所有権が…という記述がありました。う〜む…
確かにφ5を4個使用しているもののその方のは電流制御を抵抗(新しいものはCRD)で行っているのに対して私のは周辺温度上昇により定格に近い電流を流すタイプなので…これを出品した場合知的所有権の侵害に当たるのでしょうか?難しい問題ですね。
取付日:2003年11月19日
その後点灯状態を夜に確認しましたがポジションランプを見ると光の照射範囲内では眩しすぎます。まあヘッドライトを消した直後なので温度上昇により明るかっただけかもしれませんが、一応そのことを考慮して消灯後3分経過した状態で確認しました。
当然光量が安定すると昼間でも確実に確認できます。