Chapter 6 表面処理2

引っかきキズよ、さらばっ!

ネコの爪跡みたいな浅いキズなら、コンパウンドで取れないことはありません。このとき注意したいのは、コンパウンドの種類です。シリコンなどが含まれているものは、光沢を出す効果があるので、傷がとれたような錯覚に陥りやすく、効果も短いのです。ワックス分が入っているものも同じです。完全に消滅させるなら、そういった成分が入っていないノーワックス、ノーコンパウンドのものを使うことが大切です。話は違いますが、水アカをとりたい、なんてときに市販のクリ−ナ−を使う場合には、ボディが何色でもまずメタリック用から試してみましょう。白色用は研磨剤が多いから最後の手段だと考えた方が良いでしょう。


コンパウンドを使う目的は表面の傷ついた塗装の表面を1枚拭うことです。勝負は5μmです。超微粒子のコンパウンドで一回の作業で削れる量はこの25分の1程度なので、このコンパウンドで深い傷が付く心配はよっぽど間違った作業をしない限りありません。塗装の表面にはクリア層と言われる層があり、この下に上層、中層、下層等があり車の塗装は何重かになっていますが、このクリア層は常識的に45μmであり、私たちが一般に使用するコンパウンドで根性を入れて磨いてもたかだか0.2μm程です。このクリア層の表面の曇った表面を削り下の塗装をきれいに見せるのです。表面を平滑にしてワックスなどの寿命を延ばしてあげましょう。
(最近の車の塗装にフッ素塗装というのがあるが、硬い層で出来ているので磨くのには大変だが磨いた後の輝きはすばらしいのでがんばって磨いて欲しいです)


コンパウンドを使う場合の注意事項は、使用する前に塗装についた鉄分や汚染物質を必ず除去してから使用することです。除去せずに作業を行うとかなり粗めのコンパウンドをかけたのと同じ状態になり深い傷が付くためです。傷や塗装の曇りを取るのが目的で、傷を付けるのが目的ではありません。傷を落とすために1箇所だけ作業したくなるが、なるべくならしない方が良いでしょう。傷を落とすのに一生懸命になって塗装を削りすぎることもあるからです。傷を落とすには、何回かに分けて少しずつ磨くのが良いでしょう。1回で完璧に磨こうとしてはいけません。


コンパウンドの使い方ですが、トラップ粘土をかけ終わったら塗装面に水がベッタリとへばりつくような状態になります。表面の汚れが取れて水が引っかかりやすい状態になったのです。この後、ワックスがけのための下地処理をするわけです。ダブルアクションポリッシャーと呼ばれるポリッシャーを使って作業すれば効率よく楽に作業できますが、我々素人レベルでは必要はありません。(良い道具はあった方が便利ですが・・・)多少力が必要ですが手を使ったスポンジ法でも十分に対応できます。


小さじ1杯分のコンパウンドを磨き用のスポンジに取りボディでポンポンと叩き、スポンジ全体に広げ軽い力で、タテ、ヨコ、タテの方向で全体に広げましょう。次にスポンジが潰れるくらいの力でタテ、ヨコ、タテの方向で磨いていきます。上級技だが、磨き終わる前に霧吹きで少し水をかけてやると、コンパウンドがさらに小さくなり仕上げがさらにきれいになります。水をかけすぎると、水分がなくなるまで磨こうとするため傷が付きやすいので注意が必要です。コンパウンドが透明になれば終了です。そして、ネルの布で拭き取りましょう。


次に、ボディの表面を平らにするために、傷を埋める平滑剤を使います。スポンジが潰れない程度の軽い力で、タテ、ヨコ、タテにスポンジを動かし、平滑剤を傷に埋め込みます。この作業は30分くらいしてからネルの布でフワッとした感じで拭き上げます。この後、さらにコンパウンドを使って磨き上げ、ネルの布で拭き上げてフィニッシュです。この処理が行われた表面は、オリジナルの塗装面の性能が保たれることになります。


平滑剤を使う目的は傷を消すことですが、我々素人は傷を削って消すより傷を埋めて消す方が作業しやすいでしょう。平滑剤には、傷を埋めるものと、傷をごまかすものがあります。傷を埋めるものは、クリアーコートを傷に埋めるものであり、傷をごまかすものは、周囲の色に似た色を付けていくものなので、どちらがよいかは好きな方ということになります。


シリコンが入っているものでも、後の作業によって有効な撥水が出せる方法があります。が、その方法は根気よくしなければならないのですが、その代わりに最終的には厚い層ができ、塗装の上のクリア層のさらに上にシリコンの層ができるというメリットがあります。


その方法とは、シリコンの入っていない研磨剤で平滑にした後、シリコンの入っている超微粒子の研磨剤で全く力を入れずに磨きます。このシリコンの層は、薄いもので10日もすれば溌水効果は無くなってしまいます。そこでまたシリコンの入った研磨剤で磨くということを何度も何度もしつこく繰り替えしていけば、最終的にはブ厚いシリコンの層が出来ます。これは並のコーティング剤では及ばない性能が出せます。その後の処理はワックスケアなどに切り替えてやれば良いでしょう。


  • ワックスがけを完璧にするためにはコンパウンドを使って磨いたほうが良いでしょう。ただし、この章の初めに書いてある注意事項を必ず守って欲しいです。背中に厚めのウレタンがついている磨き専用のスポンジを軽くしめらせ、研磨剤を小さじ1杯分くらい付けます。
  • スポンジがペッチャンコに潰れるぐらいの力を加えて、まずタテ方向、そしてヨコ方向、フィニッシュにタテ方向に磨きます。
  • 磨いていってほとんど透明になったら霧吹きで少し水をかけて軽く磨くと、磨いて粉々になった研磨剤がさらに小さくなり仕上げがとても綺麗になります。これも1回で作業する範囲はトラップ粘土と同じ30×30cmが目安です。
  • ピラー部分などの細かいところも研磨剤を使ってこれも風のながれるタテ方向に丁寧に磨きましょう。
  • ゴムの部分もブラシでブラッシングしましょう。ブラシの毛が潰れないくらいの力でやれば傷は付きません。
  • 次にボディの傷を埋めるもの(SOFT99の傷クリアーなど)をウレタン付きにスポンジに小さじ1杯分付けます。
  • 今度は、スポンジが潰れない力で軽く磨きましょう。これも、タテ方向、ヨコ方向、そしてフィニッシュはタテ方向で磨きます。
  • 30分くらいおいてからもう1度研磨剤を使い、今度は最初の研磨の半分くらいの力でタテ方向、ヨコ方向、タテ方向の順で磨きましょう。
  • 各磨き行程ごとにネルの布を使って拭きましょう。最後もネルの布を使って拭き上げます。
  • 磨き用のスポンジは使った後きれいに洗って乾かしましょう。

Chapter 7 ワックスがけ

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