ワックスを正しく選ぶのがまずは第一です。それからボンネットの温度を見ます。触ってみてっちょっと冷たいくらいが良いでしょう。なぜならば、熱いと塗装の膜が広がるのです。そこにワックスを塗ると変な染みになることもあるから注意してください。ワックスの伸びも悪いですしね。ワックスがけは、「ムラなく、無駄なく」がポイントです。塗った後に白くスジができるようでは付けすぎです。ワックスも、タテ、ヨコ、タテの方向で(軽く力を入れずに)行いましょう。伸びが悪いようならセ−ム皮で湿らせながらやると良いでしょう。で、ワンパネルづつ掛けていきましょう。薄く塗るのがポイントで、乾く前にふき取ってしまいましょう。厚く塗っても何も良い事は無く、乾いてから固くなってしまうと、ふき取りに力が必要になります。そこに砂でも飛んできたらあっという間にキズキズになってしまいます。それに、厚く塗っておくと拭き取りのときに熱を持ってしまい、ちゃんとした被膜を作ることができないのです。
液体タイプのコーティング剤は水を嫌うので作業中は決して水を付けてはいけません。水を付けると塗りムラの原因になってしまうからです。作業用のスポンジに液体を付けて薄くのばすように行うのはワックスと同じですが、液体がなくなってきたと思っても少し押してやると、しみこんだ分が出てきて無駄無く使用できます。
ところでこれらは基本的に主成分に溶剤、材質によって液体、半練り、固形の3タイプに分類されます。この主成分は、シリコン+カルナバロウとフッ素の2種類に大別することが出来ます。シリコン+カルナバロウの組み合わせは、自然な艶を出しやすく、これに対して、今人気で多くの種類が出ているフッ素は、耐久性、撥水性、汚れ防止性の3点でシリコン+カルナバロウを上回ると言う特徴を持ちます。艶を出したいのならカルバナロウが主成分のワックスが良いでしょう。ワックスはボディの表面に少しの水が残っていても大丈夫ということもあります。輝きを演出したいなら、被膜(コーティング)系のものが良いでしょう。コーティングは手軽にできる点が長所です。
寒いところや、雨や雪の多いところではシリコンタイプのワックスが良く、暖かい南の方なら樹脂系のテフロンタイプのワックスが良いと思われます。白用は水垢などが目立つのでコンパウンドが含まれている場合があり、この場合表面を少し削りながら塗布していくというものです。濃紺用は艶を出す成分が含まれている場合が多いです。
稀にコンパウンドを含んだコーティング剤で、塗っていると塗布成分がスポンジにしみこんでしまいコンパウンドだけで磨いている状態になるものもあるので注意が必要です。一般的に作業性がよい商品は耐久性が悪く、作業性が悪い商品は耐久性が良いのですが、最近の商品は、ワックスタイプでも耐久性・発水性などの効果がコーティング剤より優れたものも売られていて、たくさんの種類があるので、最後は好みで選んで欲しいと思います。ワックスは錆防止のためのものだから、ここまで進化してきたのです。
ワックスとコーティング剤には、それぞれに長所短所があり、使用方法も異なります。これらは塗装に変わって様々な過酷なダメージを受けているのですが、耐久性が高く、長持ちするものほど下地づくりの精度の高さが要求されるのです。汚れを完璧に近い状態まで取り除いていない塗装面にハードなコーティングを施すと、汚れの上から湿布をしたような状態になってしまい、逆にマイナスになってしまうのです。
傷をコーティングで埋める場合は何度かコーティングすると良いのですが、1回作業した後すぐまた作業するというのでは駄目です。少なくとも1〜2時間ぐらいはおいておきたいです。コーティング成分が固まり被膜を作るのに最低そのぐらいは掛かるからです。
もしワックスを掛けていてムラができた場合は、カルバナロウタイプのムラの消し方は、水のついたセームで撫でるとムラが消えるでしょう。コーティングの場合は、拭いた後のセームで拭いてみると良いのですが、コーティングはムラが消しにくいので注意して作業してもらいたいです。1日おいて冷えたボディでムラを消すのも有効です。
ムラではありませんが、隙間などに古いワックスがたまっていて取り除けない場合は新しくワックスを掛けて拭き取ってください。溶剤は同じ溶剤で溶かすことが出来ます。それでも取れない場合の最終手段としては、消しゴムを使ってみるのも良いでしょう。
拭き取りにはネルの布を使います。使い古したTシャツを使うのも良いでしょう。Tシャツはなるべく厚いものでプリントの部分はは切り取って使いましょう。これぞ使い古したTシャツというものはボディに優しいが、縫い目の糸はボディをかなり深い傷をつけてしまうのでその部分は切り取ってから使用するようにしましょう。
★ボディ編
★ピラー編