JZX100 TourerVは低速トルクの確保を目的に小さなシングルタービンを装着しています。
このため、目的であった低速トルクは確保できましたがその反面アクセルに敏感になりすぎるようになりました。敏感すぎると言うと語弊があるかもしれませんので正確には1速でのホイールスピンが発生してしまいます。詳しくはアクセルの項目をご覧ください。
TOYOTAはその対策としてTRC(Truction Control)とETCS(Electronic Throttle Control
System)を装着する事によりリアのみにブレーキをかけ、メインのスロットルの動きを制御し、リアタイヤのスリップをコントロールが可能になりましたが、運転手の意図しない動作をする事もあります。
もともとETCSは以下のような機能を持っているそうです。
・高負荷出力制御
・スロットル非線形制御
・スピードリミッター制御
・低μ路非線形制御(SNOWモード)
・変速ショック低減制御(A/T車)
・TRC制御(オフ時でも上記制御は有効)
これらがどのような動作をするのかと言うと・・・
高負荷出力制御
連続高負荷(=高回転)時にエンジンを破損させないようにサブスロットルを徐々に閉じることで出力を減少させる。また、オーバーヒート状態にならないように水温が一定の基準を超えるとサブスロットルが閉じる制御をすると聞いたことがありますが、こちらに関しては真意の程は定かではありません。
スロットル非線形制御
メインスロットルはアクセルペダルの踏み込み量に対して1:1の割合で開きますが、サブスロットルをメインスロットルの開度よりも規定量閉じることで見かけのスロットル開度をアクセルペダルの踏み込み量よりも減少させる。これにより敏感すぎるエンジンフィーリングをある程度(語弊があるかもしれませんが)鈍感にする=ホイールスピンを起こさせすぎないよう万人向けの車にする。
スピードリミッター制御
スピードリミッタ-作動前にサブスロットルを閉じる動作をする。
低μ路非線形制御(SNOWモード)
路面μが非常に低い雪や氷の上でホイールスピンをさせ難くするために乾燥路と比べてサブスロットルをあらかじめ大きく絞る。また、スロットル非線形制御と併せて見かけ上スロットルを非常にゆっくりと開くような動作をする。
変速ショック低減制御(A/T車)
A/T車におけるシフトアップ時の変速ショックを和らげるよう、シフトアップ時にサブスロットルを一時的に閉じる動作をする。
TRC制御
ホイールスピン時にスロットル開度を減少させホイールスピンを減少させる動作をする。また、ABSコンピューターとの連携によりリアタイヤにブレーキをかける。
また手元のスイッチによりTRC制御はキャンセルすることが出来ますが、上記の各制御はキャンセルされず動作しつづけます。
このためアクセルをすばやく踏み込んでも、サブスロットルの動きにより見た目のスロットル開度(メインスロットル開度とサブスロットル開度の積)は非常にゆっくりと動作するので、よく言えばアクセルレスポンスが敏感すぎず、悪く言えばアクセルレスポンスが悪化します。
これらの機能がどのように使われるか一例をあげると
アクセルON
↓
リアタイヤにスリップ発生
↓
サブスロットル開度を減少させ、リアにブレーキをかける
↓
スリップが収まらない
↓
ETCSが作動しSNOW modeに突入(SNOWランプ点灯)
↓
アクセルに対して非常に鈍感になる
一度でもSNOW modeに突入してしまうと手動でスイッチを押さなければ解除される事はありません。(ただしエンジンを切れば解除されます)
この動作は賛否両論ありますが車を安全に運転するためには重要だと個人的に思います。
否定的な意見としては、運転手の意図がそのまま車に伝わらないという事があります。
なお、ご質問をいただきましたがSNOW modeとフェイルセーフ(Fail safe)とは別な機能です。
SNOW modeとは路面μが低い状態でもリアタイヤのスピンを抑えるためにわざとサブスロットルの動きをゆっくりと動かせて見た目のスロットル開度をゆっくりと大きくする状態の事です。
フェイルセーフ(Fail safe)とは万が一システムが落ちる(=故障)場合でも他の部分にあまり支障をきたさずに故障した場所以外のシステム全体で安全に使用できるようなバックアップシステムのことで、この場合サブスロットル系等に何らかの異常が発生した場合でも車を運転することが出来るようにサブスロットルを全開で固定している状態のことです。(上手く説明できずに何度も書き直しています。m(._.)m
ゴメンナサイ)
サブスロットルの高負荷時出力制御や非線形制御について対策が無いのかと言えばそうではなく、サブスロットルのカプラ-を抜くと物理的にこの動きをキャンセル(=フェイルセーフ状態)する事が出来ます。また、amuseからはサブスロットルを取り外すキットやETCS
monitorによりサブスロットルの動きを読み取る&場合によってはTRCごと機能をキャンセルする事が出来ます。
ETCS monitorはamuseの宣伝をする訳ではありませんが、フェイルセーフ機能を非常によく使っていると思います。高負荷時出力制御や非線形制御による出力減少やレスポンス悪化などをフェイルセーフを使い回避しています。
“スロットルシステム系及びエンジンコントロールシステム系に異常が発生した場合は、スノーインジケーターを点滅させ異常を表示させる。スノーインジケーター点滅時(異常発生時)には、サブスロットルバルブモーターへの制御信号を禁止し、サブスロットルバルブはリターンスプリングにより全開状態となり、ETCSが装着されていない状態になる。=フェイルセーフ状態”
パワー指向若しくは運転手の意図をそのまま車に伝えたいと思う方の間で流行っているのもうなずけます。
私の場合、キャンセルするほど自分の意図を車に伝えられないと思う事も無く、ちょっと遊ぶ分にはTRC&ETCSがあったほうが安心できます。
しかしながら、最近3000〜4000rpm付近でTRCが作動したような減速感を体感するようになり不快になることもあります。その理由は当然リアタイヤの受けられるトルクよりもエンジンがタイヤを回転させるトルクの方が大きくリアタイヤがホイールスピンしているためサブスロットルが閉じて出力を下げているためです。各ギアによる加速度についてはアクセルの項目をご覧ください。
注:以下の方法は整備書に書いてある事ですが消去後正常コードが出力される事を確認する必要があります。
フェイルセーフはサブスロットルに異常が発生した状態の事ですが、このときのメモリーを消去するためには左カウルサイド(助手席左足の左側)にあるTRCヒューズ(10A)を10秒以上取り外した後、ヒューズを接続すると可能です。
右の画像で言うと赤いヒューズが対象の10Aヒューズになります。
それにしてもマイナーなところにヒューズがあるものですね。エンジンルームと右カウルサイド(運転席の右足元)にヒューズがあることは知っていましたが左カウルサイドにもヒューズがあるとは。
でも、ヒューズを抜きっぱなしにすると・・・長くなりそうなので次をご覧ください。
Special thanks 某♪氏