HID

何をいまさら?という気もしますがHIDです。ディスチャージ、キセノン等自動車メーカーにより呼び方が異なりますがここではHIDに統一します。
HIDとはHigh Intensity Dischargeの略で高輝度放電灯という意味です。あの24時間レースで有名なLeMans(ル・マン)で装着されたのを皮切りに、その消費電力・明るさ・寿命の点でハロゲンバルブより優れており、夜間の視認性が高くなるためヨーロッパで広く採用され始めました。
そのころ日本ではHIDの使用がまだ許可されていなかったのですが、その後許可されて乗用車で初めて純正装着されたのはJZX100系MarkU、Chaser、Crestaでした。


具体的にハロゲンバルブとHIDを比べて何がどのくらい違うのかというと

ハロゲンバルブ HID(D2)
消費電力 55W 35W
定常電圧 12V 85V
明るさ - 170W相当
寿命 - ×2

おおよそこのようになります。


ハロゲンバルブはガラス管にガスを封入しフィラメントを赤熱させて光を出すのに対して、HIDは放電方式を採用しています。イメージとしては蛍光灯が分かりやすいかも?
HIDは内部に水銀とその他の物質が入っており電圧をかけて水銀を気化させることで光を発生させています。体育館の天井のライトを思い出してもらうと分かりやすいのですが、体育館のライトは水銀が入っている水銀灯と呼ばれています。光を発生させる方式はHIDと同じですが水銀灯の場合明るさが安定するまで非常に時間がかかります。
自動車の場合はそんなに時間がかかっていては使用に耐えられないのでスイッチをONした瞬間から安定した明るさを得るために専用の回路が必要になってきます。当然自動車のバッテリーは12Vなので回路により昇圧してHIDバルブへと供給しています。
点灯時の電圧は実に約2万Vにも達しますがこれは一瞬で安定してからの電圧は上の表にも記載していますが85Vになっています。


色々と優れた点の多いHIDですが一つだけ問題があります。というのは内部に水銀を封入していることで廃棄処理の方法によっては環境を悪化させてしまいます。そこで水銀を使用しない新しいタイプのHIDが開発されLexus等で使用されています。
光を発生させるために必要だった水銀を使用しないためバルブ、回路が今までのHIDから変えられています。
D4タイプと言われるものが水銀0使用のHIDですが、これは定常電圧が42Vに引き下げられ、定常電流が大幅に引き上げられています。


ハロゲンバルブと比べて寿命の長いHIDですがいつかは寿命が訪れます。JZX100系は乗用車において日本で始めてHIDが装着された車両ですがその分寿命も一番最初に訪れています。
一般的には暗くなっていきますが光量の減少は少しずつであるためやや分かりにくいのですが、点灯時にピンク色の光が出るようになるとかなり末期ということになります。その後突然消灯して再度点灯したり、消灯しっぱなしになるとバルブを交換しなければなりません。
JZX100系の前期型は回路の一部に不具合があったようで、後期型からは対策品に変わっていますがバルブの寿命がきたまま無理に使い続けると回路のほうまで故障してしまうこともあるそうです。
バルブだけだと左右で2万〜ですが回路まで交換すると数万円の出費になってしまいます。


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