合成油

ナフサを化学的に処理して得られる合成油ですが、代表的にはPAO(Poly Alpha Olefin:ポリアルファオレフィン)、VHVI(Very High Visconsity Index:高度水素化分解油)、エステルと言うものがあります。
これまではPAOが主流だったのですが、現在の主流はエステルに移っています。

エステル
エステルはアルコールと酸を反応させて生成させた物質の名前です。このため他の合成油でも一緒ですが多種類のエステルが存在します。
で、今エステルを使用した高級オイルが出てきていますが、もともとエステルと言うものはジェットエンジンの潤滑剤(高温・高負荷へ耐える性能を要求される)として用いられていました。

エステルの化学的作用に注目すると、これは金属表面に吸着すると言う性質を持ち、低粘度でも摩擦を低減させると言う特徴を持っています。このためオイルポンプによってオイルを加圧し作動面に供給し続けることで金属同士の接触を防ぐという物理的な潤滑だけでなく、化学的にも金属に作用することでより保護性能が高まると言うわけです。

あくまでエステルと言う物質だけを見ると吸湿性を持ち加水分解しやすい性質を持っています。
このためエンジンオイルとして販売するにはこの加水分解を抑える添加剤が必須になってきます。高級オイルの代名詞であるMOTULなどはヨーロッパ用、アメリカ用、アジア用の3種類が存在すると言われています。アジアは特に湿度が高いため(湿度が高い=吸湿しやすい)特別に添加剤を入れているのだと考えられます。実際並行輸入品の中に状態の悪いものがあるとオイルが加水分解して乳白色になるなどと聞いたことがあります。

で、今現在エステルは高級オイルにのみ使用されていますが、以下の各社・各ブランドに用いられています。(HPに説明表記があるもののみ)

メーカー ブランド コメント
BP Racing ESTER+PIO+VIMA
vervis ESTER+PIO
CASTROL Syntron Extra
Formula RS
ENDLESS COMPOSITE SYNERGY
FET RACING LINE
GRACE RUN
HKS Premium Pro
SUPER Premium RACING
JCD PRODUCTS A.S.H. E-spec
MOTUL 300V ダブルエステル
8100 ESTER
NUTEC
RED LINE
SILKOLENE Pro
SPEED MASTER
SUNOCO RACING BLEND 2つのオイルをブレンドすることで任意の粘度が得られる
Yacco 万和商事が扱っています。AMALIEもある。
Yellow Hat MAGMAX プレミアム
     
Tac☆Main(タクマイン) 安いんですが…

この中でももっとも有名なのはスーパーGTのGT500 Z33のサイドにステッカーが貼られているMOTULですね。
MOTULはフランスのオイルで、フランスの頑固職人の気質が良い方に働き妥協のないつくりのオイルになっています。ですが、一般的にはあまり知られていませんでしたね。スーパーGTに出るまでは宣伝活動は殆どしていませんでしたから。
Yaccoもフランスのオイルでこれまた良いと評判のオイルです。こちらも一般的にはあまり知られていません。

ちなみに安いところで行くとTac☆Mainと言うのがあります。これは(多分)国産のノーブランドオイルになっており、中間マージンをカットしたオイルです。
金属缶にブランドの表示のみと言ったかなりシンプルな形をしています。で、気になるのがSAEの粘度とAPI規格は表示されているのですが、問題は信頼性…
バイク乗りの人たちは良い印象を持っているみたいですね。

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