B-CASカードとは

日本のテレビ放送は著作権により守られております。正しい使い方で正しい視聴を行いましょう。


日本で地上デジタル放送、BS・CSデジタル放送を受信するためにはB-CASカードというものが必要になります。
B-CASカードとは名刺の大きさで、クレジットカードと同じようにICが取り付けられています。日本のテレビ放送はこのカードを受信機器の所定の場所に装着しなければ正常に見ることができません。


アナログ放送時代はこのようなカードはありませんでしたが、デジタルになってから何故このようなカードが出てきたのでしょうか?
この理由はデジタルならば劣化なしで無制限に複製が行える為に、放送業界等からの強い要望(著作権がらみ)により複製を行えなくするようにしたものです。


ですが、複製を行えなくすることがTV放送がデジタルになってから急に出てきたわけではありません。確かベータはそのような技術は入っていなかったと思いますが、記録媒体がアナログであるVHSのころからコピーガードという名前で技術が投入されていました。
これは複製を行おうとしても、映像にノイズが入ることで視聴が困難(不可能)になるものです。


その後一時期ごく少数のユーザー(私もその一人です)が使用していたLD(レーザーディスク:大きなCDの光学アナログ記録媒体)、DVD、BDと記録媒体が変わっていますがいずれも複製を禁止する技術が投入されています。


一方PCに目を向けると記録媒体がテープ(知ってる人いるかな〜?)の時代はこの技術が投入されていませんでしたが、5inchフロッピーのころから複製を禁止する技術が投入されています。


著作権

著作権とは作成者の作ったものに対して、その利用を独占的に支配することができる法律です。
要は自分で作ったものについて、他の人が勝手に使うことが出来ないようにしたものです。


何故かというと、映画を例にあげると、映画を作るには人件費・セット・機材使用料e.t.c.にお金がかかります。映画館でこれを上映すると、私たちはお金を払って映画を見ますが、そのお金は作った人の所へ行きます。
映画を作ってお金を貰う。仕事をしてその報酬として給料を貰うのと同じことです。
ですが、映画を作ったものの、他の人が無断で上映してお金を取ったら映画を作った人のところにお金は入ってきません。
この他の人は映画を作った人の労力を盗んで勝手にお金を稼いでいることになります。人の物を盗むのは窃盗罪と言って犯罪ですし人道的に許せません。
物は形があるものですが、映画は目や耳に入ってくるものなので形が無いと考えます。
この為形のないものにも作った人の所有権を与えるために著作権という法律が作られました。


映画を記録したVHS、DVD、BDを購入する。これは映画館でお金を払って映画を見るのと同じ行為です。映画館では見るだけ、購入すると自分の手元にあるとちょっと違う気がしますが、お金は映画を作った人の所へ行くので同じと考えます。
また、最近ではレンタルショップでDVDを借りてきて家で見ることがありますが、借りてきたDVDはお店に返しますが、その一部は映画を作った人の所に行くのでこれまた同じことです。


この時、購入した人は映画を記録した記録媒体(ここではアナログであるVHSを取り上げます)であるVHSのプラスティックのケースや磁気テープ代金として映画を作った人にお金を払ったのではなく、その中に入っている映像や音声にお金を払っています。
ですが、VHSは自分の物になりますが、記録媒体は使っていると劣化してきます。ビデオデッキの故障で記録テープがしわになってしまったり、何度も見ることで磁気記録が弱くなってきたりe.t.c.で見ることができなくなります。
ここで、著作権では私的利用を目的とした複製という項目を設けています。
これは購入した物に対して劣化や損傷を考え、自分だけ若しくは家の中だけで使うものに関して複製しても良いですよというものです。だって見すぎで映画が見られなくなったら、また同じものをお金を出して買わないといけなくなりますからね。
自分で使う分に関してはコピーしてもかまわないということです。


でも、ここで法律の微妙な点があります。
というのはコピー出来ないようにしたものを、出来るようにしてコピーするのは違法ということです。
自分で買ったVHSをコピーしようとして、コピーガードが入っているからと言って、コピーガードを取り除く装置を使うことで、コピーするのは違法ということです。なんか早口言葉みたいですね。


要はコピーガードが入っているものを取り除いて、コピーしてはいけませんよということです。


このことを法律では
「技術的保護手段の回避を行うことにより、当該技術的保護手段によって防止させる行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によって防止される行為の結果を生じないようにする」場合を除いて私的利用を目的とした複製を許可する。
と言っています。


B-CASカード

話をB-CASカードに戻して、各分野からの強い要望により、勝手にコピーされない為に日本ではB-CASカードというものが出てきました。


有料の番組なんかは“コピー不可”なんて信号が入っているみたいですが、地デジが開始された直後は“コピーアットワンス”という移動することができる信号が入っていました。
これはたとえばHDD内蔵DVDレコーダーで、HDDに録画した番組はDVDへ移動することができるというものです。でも、コピーアットワンスとは言うものの、HDDからDVDへの移動のことで、DVDへ移動すると録画したHDDの内容は消えてしまいます。


この方式が大不評で、移動中にエラーが出て番組が消えてしまったとか、停電で内容が消えてしまったとかいう話が沢山出たそうです。


この為現在では“ダビング10”と呼ばれるHDDから9回まではDVDとかSDカードとかBDへのコピーができますが、10回目にはHDDから消えるというものです。
でも、コピーしたDVDからさらに別のDVDへのコピー(いわゆる孫コピー)は出来ません。


放送業界等はよっぽど複製してほしくないんですね。


因みに、アメリカ・ヨーロッパ等の無料放送をはじめとするデジタル放送は全てではありませんが、日本で採用しているB-CASカードやコピーガード放送は行っていないそうです。


まあ、このような背景から日本では2009年3月現在B-CASカードがなければデジタル放送を見ることが出来ないようになっています。


B-CASカードはBS Conditional Access Systems Co.,Ltd.が独占的に貸出(販売ではない)しています。

お手持ちの受信機器が地デジのみ見られる機器だと青色の“地上デジタル専用”カードが、BS・CS・地上の全て(これを3波と言います)が見られる機器だと赤色の“BS・CS・地上 共用”カードが付いてきます。


このカードは受信機器1台につき、カード1枚を使用することができ、複数の機器で1枚のカードを共用することは認められていません。
ということはデジタル放送を見られる受信機器の数だけB-CASカードが必要になる(機器についてくる)ということですね。
また、円滑な業務を行うためにユーザー登録を行うようにとされています。


尚、B-CASカードの裏面?に取り付けられているICですが、これは記録媒体ではありません。
私も間違っていたのですが、これはFlashROMとCPUをもったコンピューターです。
つまりICに対して情報の整合性を確認する場合、記録した情報を読み取るのではなく信号を入力してその演算結果を元にして整合性を確認するようになります。


これはクレジットカードに採用されていることからも考えてかなり高い暗号化技術が導入されていると思われます。


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