デジタル放送のTS抜き

日本のテレビ放送は著作権により守られております。正しい使い方で正しい視聴を行いましょう。


日本でのデジタル放送暗号化

まず、日本のデジタル放送にはMULTI2という暗号化技術と、MULTI2を復号しHDDに保存するときにCCI(Copy Control Information:コピー制御情報)の元に視聴・録画・コピー(移動を含む)ができるようになっています。


MULTI2

MULTI2は暗号化技術でこれを復号するためにはB-CASカードが必要になってきます。MULTI2という暗号化技術が出てきたのはデジタル放送は当初コピーアットワンスだけで行う予定にされており、違法な手段を用いたコピーアットワンスを検知しない(除去する)チューナーを排除するために作られました。この為、B-CASカードがなければ日本のデジタル放送を見ることはできません。


CCI

復号した信号はHDDに記録する際にCCIによりコピーアットワンス・ダビング10・ムーブ不可というコピー制御情報を付加することでコピー等の可不可を決定しています。


このMULTI2とCCIのおかげで、日本では無料のテレビ放送にもかかわらず、視聴・コピーの問題が発生しています。尚、アメリカ等海外では無料のテレビ放送にはMULTI2やCCIの様な処理は施されていません。


暗号化解除(TS抜き)

ところが2007年10月25日に後に白フリと呼ばれる地デジを受信することができる白いFriio(フリーオ:フリ男、凡等と呼ばれる)がどこからともなく発売されました。2008年4月4日に黒フリと呼ばれるBS・CSを受信することができる黒いFriioが発売されました。


Friioがうまくやっている点は、B-CASカードによりMULTI2を(入手方法は除いていて)正規の手順で復号を行い、CCIの書き換えを行いHDDに保存するべきところを、これを無視しそのままHDDへ保存するところにあります。
これを所謂TS抜きと言います。


FriioはARIB(電波産業会)が遵守すべきしようとして定めたガイドラインに沿っていないチューナーです。チューナーがB-CASカードを入手するためにはARIB規定に沿ったものである必要があり、認定されることでB-CASカードを付属することができますが、Friioは以上の理由によりB-CASカードが付属していません。
地デジにかけられたコピーアットワンス等の信号が関係なくなる代わりに、まずユーザーにはB-CASカードの入手が必要とされています。
ここで問題になってくるのがB-CASカードの取り扱いです。B-CASカードは受信機器1台につき、カード1枚を使用することができますが、1枚のカードを複数機器で使用することは認められていません。
Friioを入手したユーザーが地デジB-CASカードを持っていない場合は、持っている人に借りる等して入手しなければならず、この時点で取扱いのガイドラインに触れます。
別の機器からの使用ができない場合、BS Conditional Access Systems Co.,Ltdから入手することになり、発行してもらう理由として「Friioを使うため」なんてことを言うと当然入手できないため、「中古で購入した機器にB-CASカードが付属していないため」と虚偽の報告を行なってしまった場合、詐欺罪での立件となる可能性があります。
つまりFriioはユーザーに使用にあたりリスクを負うように求めているわけです。
その後、B-CASカードを入手しなくてもいいようネットでB-CAS情報をとあるサーバー(アメリカらしい)から入手し視聴ができるようにしたらしいです。


CCIを無視した処理は法律違反に当たらないとどこかで言われた為、話題に上りました。復号にB-CASカードを使用している点は、暗号を無視し保存した状態では解読できない=視聴できないということになりますからね。
ですが、著作権では私的利用を目的とした複製は認めているものの、コピーガード(制御信号)が入っている物に対して、コピーガードを除去することにより、コピー出来るようにすることは認められていません。
この揚げ足を取って、Friioはコピーガードを除去せずに無視しているため合法と言われているわけですね。まあ確かに除去はしていないわけですが、合法と言われると…?グレーゾーンですね。

と脅しのような内容ですが、B-CASカードを別の機器で使用している事は調べようがありませんし、買ってきたFriioでCCIを無視し家庭内でコピーをいくつ行っているかなんで調べようがありませんよね。まあないことはないでしょうが…


これはFriioだけではなく2008年10月25日に発売されたPT1やPT2も同じようなことが言えます。
PT1はBS・CSデジタル2波、地デジ2波の計4波同時受信のクアッド受信が可能になるチューナーで、MULTI2を復号する機能は設けられていません。ですが、B-CASカードを入手し、カードリーダーを別途入手することでクアッド受信が可能になります。
MULTI2を復号する能力は持っていませんが、ソフト的に複合された信号をCCIを無視しHDDに保存する機能が、MULTI2を復号するにはユーザーに任されていると言う点がFriioと若干異なりますが、殆ど一緒のように思えます。


TS抜き?

で、取扱いがもっと微妙なのが sknet Monster TVのHDU、HDUS、HDP、HDP2です。
これはARIB規定に沿った製品のため、B-CASカードが付属されています。メーカーの指示通りにソフトをインストールすると地デジの視聴・録画ができます。尚、DVDなどへの書き出しは確かできなかったと思います。
ですが、ドライバーの一部・ソフトをメーカー標準ではなくネットで公開されている物を使うことでFriioと同じような動作をすることができます。


Friio発売後、 I・O DATAbuffaloPIXELA から地(BS・CS)デジチューナーが発売されましたが、有志が注目したのはソフトウェアでコードを行う sknet のチューナーです。
注目されなかった原因は高機能すぎる点はハードウェアデコードと思われます。
デコードをハードウェアで行うことでCPUへの負荷は低くなりますが、ソフトの開発が難しくなる(著作権がらみ)のでしょうが、デコードをソフトウェアで行う場合はすでにあるFriioで培った技術を流用することができ開発の手間(無償で行っているのでコストではない)が少なくて済むのでしょう。


で、G氏が発売直後に購入したのはMonsterTV HDPです。
これは地上デジタル放送を1波受信することができるPC内蔵型の地デジチューナーボードです。当然B-CASカードも付属しています。当時購入した価格は2008年11月中旬で約11,000円。これに対してFriioは3万円程度でB-CASカードなしということで購入するしかないと思い立ったそうです。
その後HDPは近所のPCデポで値下げが行われ7千円を切っていたと思います。


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