B-CASカード不要のsoftCASとは


日本のテレビ放送は著作権により守られております。正しい使い方で正しい視聴を行いましょう。
当サイトで取り上げるsoftCASは巷で噂されているウイルスが入っているとか、どこかに通信しているとか、すべてのBS(WOWOW等未契約の有料放送含む)や110℃CS(スカパーのみ契約有料放送含む)が見られるとか、難視聴放送が見られるといわれている違法性が高いと思われるsoftCASとは一切関連性はなく、デジコン委により計画されているいわば正規のsoftcasを紹介しております。
まだ選定中ではあると思いますが、ひょっとすると近い将来一部の環境ではB-CASカードが無くなるのかもしれません。


そういえばこの記事を書いたのが2013年の8月頃だったのですが、その後どうなったんでしょう?
2015年5月頃から、BLACK CASとか違法な改造を施したB-CASカードで有料放送が見られなくなったとかいう話が出てるらしいのですけど・・・?
当初のsoftCASでも見られなくなったとか何とか・・・?
でも、そういうのが出来る人はあっさり回避出来たとか・・・?


まず、日本のテレビ放送(地デジ、BS、CS:スカパーe2)を視聴するためにはB-CASと呼ばれるクレジットカードサイズのICカード、若しくはmini B-CASと呼ばれるUSIMサイズの小さなカードが必要になります。
このカードにはICチップが入っており入力に対して演算した結果を出力するといういわゆるコンピュータの働きを行うことでセキュリティレベルを高くし(記録媒体であれば読み取りが容易ですが、記録している情報の読取を非常に困難にしているのでクレジットカードに使われるほど)ています。
また、BS・110度CSの契約できるカードの色は赤色をしていることから赤キャス等と言われています。


B-CASカードの復号化

そもそも現行B-CASカードによりデジタル放送波がどのように復号化されているかというと、

  • B-CASカードにあるKm(カード固有のマスターキー:Key master)を使い、EMM(ECMを解くための情報:個別情報)の暗号化を解き、EMMの中にあるKw(ワークキー:Key work)の取り出しを行います。
  • Kw(ワークキー)を使いECM(番組に関する情報や視聴可否に関する情報)の暗号化を解きKs(スクランブルキー 最短1秒で更新:Key scramble)の取り出しを行います。
  • Ks(スクランブルキー 最短1秒で更新)を使い、映像本編の暗号を解除します。

という流れになっています。


コンテンツの保護という意味からは非常に有用なシステム(海外では無料放送に使われていないとか、無料放送にスクランブルをかけるのはおかしいのでは?と言われている話は置いておいて)として働いてはいますが、いかんせんコストとその物理的な大きさから、どうしてもこれ以上小さく出来ないという限界が存在します。


この現状を改善するために2011年10月31日に“情報通信審議会 情報通信政策部会 デジタルコンテンツの流通の促進に関する検討委員会”(通称デジコン委)の第60回会合において新たなコンテンツ保護方式として新方式(softCAS or 新B-CAS)の導入を行うと発表されました。
これは難視聴放送を含めたBS全チャンネルの視聴?と、110度CS全チャンネルの視聴が可能らしい?Black CASやAmazing CASが出てきた対策というわけではなく、その前からsoftCASの導入は計画されていたようです。


新方式ではこれまでのKw、Ksの2重鍵方式に加えKd(デバイス鍵)の3重鍵方式を採用するそうです。
尚、Ks(スクランブル鍵)は従来のB-CAS方式で使用していたものを共通利用し、Kw(ワーク鍵)はECM(番組情報)の暗号化に利用し、新たに誕生したKd(デバイス鍵)はEMM(個別情報)の暗号化に使用されKdはメーカーごとに割り当てを行うそうです。
と言うことはKdは正規メーカーでなければ割り当てされ無いということで違法メーカーの締め出しを行うという目論見があるのかな?
尚、Kw、KdはEMMにより更新を行いKwは定期的な更新が可能という仕様になっています。
この技術仕様は2011年3月(STD)、2011年12月(TR) にそれぞれ正式承認されています。


新方式(softCAS or 新B-CAS)の開始時期は
2012年8月中旬以降:関東地方にて使用開始 以後全国展開
2013年4月:全国の民放テレビ局にて運用開始
とされているようです。
あくまで開始時期であってこれ迄のB-CASカードが使えなくなるというものでは無いかと思いますが…?
直近(第66回配布)の資料を見ると、地デジについてはB-CASカードが不要な形とすべきとされ、これは我々ユーザー側からもメーカー側からも共通の意見として認識されているようです。また、B-CAS社一社で発行する問題点も挙げられているようです。
その内容は善良な視聴者に影響をあたえるようなオペレーションを行わないとしつつ、一方違法な方式は締めだすような内容になっているようです。まあ、これは簡単で安くてテレビが見れると良い我々からするといい話ですね。
また、コピー制御信号に反応しない無反応機器とB-CASカードの不正な改ざん方法というものについての懸念も挙げられていました。


新方式の導入時期ですが、当初2012年7月と言われていましたが、ネットでの有料配信が本格化してきたためか方針が変更に次ぐ変更で2013年4月の運用開始というのが伸びに伸びているようで・・・


地デジの新保護方式、関東で2012年7月末に開始――情通審

地デジ保護新方式、'12年7月末に関東から開始

インテル、デジタル放送のB-CASにかわるソフトCASの導入を目指す

デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会(第64回) 議事録

一般社団法人地上放送RMP管理センター


具体的にどういうものか?ということですが、現行のICカード方式のB-CASカードに加え、スクランブルの解除はソフト的に行ようにする(このためsoftCASと言われる)ことで受信機器の製造コストを抑え、スマートフォン、ニンテンドーDS、PSP等での受信機能の実装を可能にするというものです。
また、コピーコントロールであるダビング10、コピーアットワンス等がなくなるわけではなく、あくまでカードの代わりにソフト的に処理を行うというもののようです。


無料放送にスクランブルをかけているというシステムがなくなるわけでは無いのですが、製造コストが抑えることが出来れば製品価格も安くなり、現状ではワンセグの受信機器であったものがフルセグを受信できるようになりユビキタス化ということには非常に有用であると感じます。
一方、無料放送にスクランブルをかけているということについてデジコンの66回答申案について疑問を投げかける文章も入っていました。
それにしてもデジタル放送が始まった頃は後付の地デジチューナーは不可能と言われていたほどなのに時代は変わっていくものですよね。


個人的な見解ですが、softCASの導入によりこれまでよりも新しいチューナーが出てくることが予想されます。高画質の放送が受信できる小型のチューナーというのは需要が大きいですからね。


尚、 現状使われているB-CASカードですが、デジコン委によると
“ダビング10の導入により大多数がアクセスコントロールを意識せず円滑に作用している”
と理解されているようです。

まあ、確かに当サイトのダビング10とはというページで10回もコピー出来れば十分と考えていますがそれを決めるのはユーザーの方でして、ユーザーは設計者が思いもよらぬ方法で使うというのはこれ迄の人類の歴史の常であるわけでして…


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