チューニング

チューニングとはバランスを取る事です。
一般にはエンジンの出力を向上させる=パワーアップと考えられがちですが、バランスを取る事こそチューニングといえるのです。

私のチューニングの概念図を左に示します。
市販品はある一定の基準で耐久性と出力(性能)が作られています。これから出力を向上させようとすると耐久性が減少してしまいます。
ここから出力と耐久性を高い次元で両立する事がチューニングだと考えます。

この軸はトレードオフの概念から作られています。
トレードオフの例として

出力 ― 耐久性
出力 ― 燃費
軽量化 ― 剛性

などがあります。
これらを高い次元で両立出来るか否かでチューニングは成功か否かが決まると考えます。

実際のチューニングはこのトレードオフが幾重にも重なり複雑に噛み合っています。

マフラー交換のお話
エアクリーナー交換のお話

マフラー交換
マフラー交換は現在行われているチューニングの最も一般的なものです。マフラー交換で得られる利点(欠点)としては、

  • 高出力化
  • 心地よいマフラーサウンド
  • 耐久性の向上(オールステンレスの場合)

などが挙げられます。
私の場合も例に漏れず前に乗っていた車(Silvia Q's)も今乗っていた車(Chaser)も最初にマフラーを交換しました。

Silviaの場合はエンジンに対して良くマッチしていたため低速トルクの減少も無く、燃費が悪くなる事もありませんでした。また、マフラーサウンドも自分の中では満足できるものでした。

Chaserはフルノーマル車にはオーバースペックだとは思いましたが,オールステンレスということで APEX'iのGT spec.を選択しました.

このマフラーはサイレンサーが付属していたのでそれを入れる事により低速トルク、燃費伴に回復し燃費については純正マフラーの状態よりも良くなりました。
その後、アーシングをする事でサイレンサーを入れない状態において低速トルクが回復し燃費も純正マフラーに比べてよくなりました。なお、サイレンサーを入れた状態では低速トルクの減少と燃費の悪化が発生した事を付け加えておきます。

アーシングの有無、サイレンサーの有無について以上のような結果になりましたが最終的にアーシング+サイレンサー無しという結果が最も良くこの状態を探す事がチューニングといえるでしょう。
また、チューニングは何故そのような結果になったかを理論付けて考える事も重要です。
以上のことについて私は次のように考えています。

マフラーを交換する事により排気抵抗が減少して低回転における抜けが良くなり過ぎました。抜けが良すぎるという事は燃調が薄くなるという事を意味しており、爆発エネルギーが少なくなったために低速トルクが減少したと考えられます。
サイレンサーを入れた状態のほうが良い結果が得られたという事は純正マフラーよりも排気抵抗がちょうど良く減少したためと考えられます。
その後、アーシング+サイレンサー無しの状態が最も良かったのはアーシングにより爆発エネルギーが多くなったために低速トルクが回復しバランスが取れたためと考えられ、サイレンサーを入れたほうが低速トルクが減少した理由は爆発エネルギーが多くなったにもかかわらずサイレンサーを入れた事により排気抵抗が増えた事によるものと考えられます。

ただし、今の状態でもアクセルを踏みすぎると当然のように燃費は悪くなります。燃費が悪くなる事により得られる利点としては、当初予測していた高回転の伸びがあります。

現在のアーシング+サイレンサー無しの状態がベストですが、今後エアクリーナーを交換したりその他のパーツを取り付ける事により、また異なる場所でバランスを取る必要があると考えられます。

エアクリーナー交換
エアクリーナー交換も手軽に行えるチューニングの一つであると伴に、エンジンの状態を良く保つための方法の一つであります。

まず、エアクリーナをまったく交換しなかった場合にエンジンにどのような影響が出るかを述べる事にします。
エアクリーナーを交換しない(汚れを取り除かない事を含む)ということは、塵がエアクリーナー表面に付着してその結果抵抗が増えます。抵抗が増えるということは吸気損失が大きくなり体感的には加速が悪くなります。吸気損失が大きくなる事により熱効率は低下し、また加速が悪くなる事によりアクセルを踏む量が多くなり燃料を多く使う事により、結果燃費が悪くなります。
損失のお話でも述べた事ですが、エンジンに発生する損失を減らす事により熱効率は高くなり、出力が大きくなります。
車のマニュアルにはエアクリーナーは2万キロで交換などと書いてありますが、そこまで無交換だとエンジンの出力はかなり減少し、燃費も非常に悪くなります。

ディーゼルエンジン車が黒煙を排出しながら走っている姿を良く見かけると思いますが、エアクリーナーを交換する事により相当量の黒煙を減少させる事が出来るという論文もあります。ディーゼルエンジンには触媒は存在せずそのために黒煙と窒素酸化物(NOx)をガソリンエンジンに比べて多く排出していますが、黒煙を排出するのは主に加速時(アクセルを踏み込んだとき)であり、このときはエンジンが吸い込む空気の量(吸入空気量)に対して燃料が多すぎる(空燃比で言うとリッチ)という状態です。
エアクリーナーを交換する事によりアクセルを踏みすぎる事が無くなり、吸気損失が減少する事により吸入空気量に対して燃料が少なくてすみ、結果黒煙が減少します。
しかしながら古いエンジンの黒煙を減少させる(新車の状態に戻す)ためにはエンジン内部を洗浄しなければ根本的な解決にはなりません。というのは、エンジン内部にカーボンなどが付着する事により熱損失が多くなり、燃焼室の平均燃焼温度が下がる事により出力の減少に至り、アクセルを多く踏みすぎ吸入空気量に対して燃料が多くなり黒煙を排出しやすい状態になるからです。

エアクリーナーを交換しようと思った場合、純正品にするか、純正形状のまま抵抗の少ないものにするか、エアクリーナーボックスを取り除き剥き出しタイプにするか、考えると思います。
Chaserの場合はエアクリーナーボックスは良く考えられて作られているため吸入空気温度を上昇させないような形状になっており、またキャパシティも大きいため400ps(ps=馬力)までは耐えられるといわれています。
また、安易に剥き出しタイプのエアクリーナーを取り付けるとアイドリングが安定せず出力が減少するなどと言われています。
という事は、純正形状のまま抵抗の少ないものにする事がbetterと言えると思います。

でも、吸気抵抗を少なくしてタービンにかかる負担を少なくしたい!もしくはもっと出力を向上させたい!などと考えた場合はやはり剥き出しタイプのほうが有利です。ただし、すでに述べたようにただ取り付けただけでは弊害が発生します。
じゃあどうすればいいの?ということですが、損失のお話でも少し述べましたがエアクリーナーから熱気を吸わないように遮熱板を取り付け、さらに外気を導入させるためにパイプを取り付ける事により、エアクリーナーから熱気の進入を防ぐ事が出来ると思います。

なぜ剥き出しタイプのエアクリーナーを取り付けただけだとアイドリングが安定しないと言う事が起こるのかを私は次のように考えました。

純正エアクリーナーは熱気を吸わないような形状になっています。つまり、コンピューターのセッティングは温度の低い空気を吸う状態で行われています。
ここで、剥き出しタイプのエアクリーナーを取り付けただけだと、そのレイアウト上エアクリーナーからはラジエターから発生した熱気を吸ってしまいます。温度の高い空気=酸素密度が低いために見かけ上吸入空気量に対して燃料が多い状態が発生します。正確には酸素密度の低い空気を吸う事により酸素量に対して燃料の量が多い状態です。普通のコンピューターならばフィードバック制御をしているため燃料が多すぎると判断すると燃料の量を少なくします。燃料の量が少なすぎればエンジンはストールしてしまうため、コンピューターは燃料を多く吹くように指示し・・・結果コンピューターは制御を見失う事によりアイドリングが安定しなくなると思われます。
また、出力の減少についてはすでに述べたように温度の高い空気=酸素密度の低い空気であるため熱効率が減少するためだと思われます。

そのほかにも(別の車の話ですが)剥き出しのエアクリーナーを取り付けると燃調がずれるとかエンジンに悪影響を及ぼすとか言われているのは、メーカーがセッティングした時のエンジンの状態から外れているために発生するものです。
剥き出しタイプは吸気抵抗を少なくなるように設計されているために、コンピューターのデータ以上にエンジンに多くの空気が導入されます。フィードバック制御の働かない領域では空燃比がリーンに触れるためにノッキングが起きやすい状態にあるためエンジンに悪影響を及ぼすなどと言われるわけです。実際にエンジンに悪影響を及ぼすかどうかは全てのエンジンのデータを持っているわけではないので答えを出す事は出来ませんが、純正のコンピューターは空燃比をかなりリッチにしているのでそれほど影響は出ない(影響が無いわけではない)のではないかと思います。
出力が出ない理由は空燃比がリッチかリーンしかありませんが、リッチの場合はエアクリーナーが熱気を吸っている状態であり、リーンの場合は熱気を吸っていないが吸気抵抗が少ない事により燃料が少ない状態であると考えられます。
前者の場合は遮熱板や外気導入パイプを取り付ける事により対策ができ、後者の場合は根本的には燃料を多くしてやれば解決できると思います。また、付け加えると後者の場合は点火エネルギーを多くする事によりある程度解決できると私は思います。

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