サスペンションについて

サスペンションとは乗り心地を確保したり荒れた路面などを安定して走行するためのもので、一般的にはスプリング(ばね)とショック(ショックアブソーバー)により構成されています。

スプリングとはタイヤの上下運動をスプリングにより吸収しシャーシに振動を伝えにくくするものです。
また、ショックはスプリングの上下運動を減衰するもの(収めるもの)です。ショックがない場合、タイヤの上下運動により縮められた(伸ばされた)スプリングは元に戻ろうとしますが、元の長さに上下運動が減衰するまでに長い時間がかかります。そこで、ショックの存在によりスプリングの動きをある程度制限することにより短い時間でスプリングの動きを減衰することができます。
つまり、スプリングとショックは役割が異なっているということです。このスプリングとショックアブソーバーが無ければ・・・(普通の)自転車を乗っているときの事を思い出してもらえれば分かりますが自転車にはスプリングもショックアブソーバーもありません(高級なものを除く)。少し凹凸のある道を普通に(10km/h以下)で走るだけで振動が体に伝わってきます。自転車のタイヤはサイドウォールの剛性が自動車のタイヤと比べると非常に低いため空気圧は0.4MPa(4kgf/cm2)弱と高いのですが、この事を差し引いても振動が体に伝わってきます。車と自転車では総重量が桁違いですがスプリング&ショックアブソーバーの有無がどの程度影響するのか少しは分かっていただけると思います。

実際の走行状態を考えると車はコーナーで遠心力によりロールが発生します、このロール量を決めるのがスプリングで、ロールし始める速度や収まるときの速度を決めるのがショックと言うことになります(ロールを決定するのは別の因子もありますが後で述べます)、もう一つ例を挙げるとゼロ発進時車のリアサスペンションは沈み込みますが、この沈み込む量を決めるのがスプリングで、沈み込む速度や沈み込んだ後元に戻る速度を決めるのがショックと言うことになります。

スプリングとショックは役割が異なっていますが、お互いに仲良く(組み合わせが良いと言うことです)していないとフィーリングは良くありません。教科書などに載っていることを述べるとスプリングに対してショックが強い(減衰力が高すぎる)場合は過減衰と呼びスプリングの動きをショックが制限してしまっている状態です。また、逆にスプリングに対してショックが弱い(減衰力が低すぎる)場合は不足減衰と呼ばれスプリングの動きをショックが抑えられずいつまでもスプリングが動いてしまいます。ちょうど良い状態スプリングに対してショックが最適の場合は臨界減衰と呼ばれ、スプリングの動きをショックが制限しすぎることもなくスプリングがいつまでも動きすぎることもない状態です。実際はこんなに簡単な話ではなく製品化されるまでには各メーカーの技術をつぎ込まれて市販されています。

ロールの話をしましたが、ロールはスプリングにより押さえ込むこともできますが、バネレート(スプリングの硬さ[N/mm(kg/mm)]という単位です)を高いものにしなければならず直進時の乗り心地が非常に悪いものになってしまいます。直進時の乗り心地をそれほど悪くせずにロール量を少なくするためにはスタビライザーを装備することによりスプリングでは難しいロールの減少と直進時の乗り心地のよさと言う2つの目的を達成する事が出来ます。スタビライザーとは左右のサスペンションを棒でつなぎ一方が持ち上がる動きをすると取り付けた棒が押し下げる動きをするものです。

yusukeさんからご指摘がありましたが、スタビライザーを装着すると僅かですが直進時の乗り心地が悪くなります。と同時にショックの減衰力も少し高くしなければなりません。(yusukeさんありがとうございます)
何故このような現象が発生するのかと言うと・・・長くなりそうなので下のスタビライザーをクリックしてください。

Chaser系サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式です。この形式はジオメトリー変化が少ないと言う特徴があります。しかしながら、TOYOTAは室内の居住空間を確保するためにこの方式を採用しているようです。(TOYOTAに確認をとったわけではありませんが・・・)また、セダンと言うことでスポーツカーのように乗り心地を硬くすることは出来ず、サスペンションに使われているブッシュも柔らかいものが使われています。(TRDからブッシュが発売されていることからもスポーツ走行・サーキット走行には不十分だと思われます)これにより、普通に乗っている分には快適ですが、乗り心地と静粛性を確保していますが、ちょっと元気よく走ろうとするとロールが大きかったりしてちょっと・・・と言う感じがします。

自動車は80点の出来で出荷されると私は思っています。これは、メーカーが定めた目的に関してと言うことです。セダンの目的は4人(もしくは5人)が楽に乗れてドライブすると言うことだと思います。

しかしながら、Chaser Brothersを大好きな方、車が大好きな方(もちろん私を含めて)は目的を絞ることにより80点の車を60点と90点を持った車に作りたいと思うのではないでしょうか?少し乗り心地が悪いのはかまわないからあまりロールがないほうがいいとか、純正の腰高感をどうにかしたいとか、○○サーキットの□コーナーで・・・と目的を絞ると言うことです。目的をもったサスペンション作りも、もともとの素質が良いから出来る事です。


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