CRD(LED使用個数と供給電流変動)

CRDはLED接続回路のページでも少し取り上げましたが、自動車などの電圧変動が大きい物にLEDなど電子機器を取り付ける場合に非常に有効に使えます。まず、電圧変動が起きても抵抗に対して安定して電流が送れると言うのは大きなメリットです。ここではCRDの安定電流供給特性をもう少し掘り下げて見たいと思います。もしかしたら完全に勘違いしているかもしれません。勘違いが発覚した場合は何も言わず消去する可能性があります(^▽^笑)


まず、CRDはネットで検索したところ石塚電子株式会社が製造しています。CRDの特性などについてはそちらをご覧になっていただくとして実際にLEDを複数個使用した場合について、自動車を例に挙げエンジンの運転の有無における電圧変動とCRDの電流供給量について比較したいと思います。


CRDを良く知らない間は“電流が安定して供給できるんだ”ぐらいにしか考えていませんでしたが、特性表を見るとCRDにかかる電圧により電流の供給量が変化しているようです。特性のグラフはここで掲載することは差し控えさせていただいて詳しくは石塚電子株式会社のHPをご覧になっていただきたいと思います。
そのグラフの説明を簡単にしますと縦軸は供給電流量で横軸はCRDにかかる電圧ですが、通常見るグラフと異なり両対数となっています。両対数とは縦軸・横軸が10倍ごとに単位が10倍になるというものです。わかりやすく言うと1〜10までは1刻み毎に1増えていきますが、10〜100までは1刻みごとに10増えるようになっています。グラフがわかりにくい!と思われるかもしれませんが、このグラフを通常のグラフで書こうとすると電圧が低い場所では非常に見難いものになってしまいます。わざわざわかりにくいグラフを書こうとしてるのではなく、電圧に対する供給電流特性を1つのグラフに纏める為に両対数を用いているわけです。


ここで取り上げるCRDは通常使用されると思われる15[mA]を供給できるE-153と、12[mA]を供給できるE-123を並列接続と、10[mA]を供給できるE-103を並列接続の3つで右の回路図のように接続するものとします。
なお、逆接続時のCRD破損防止として整流用ダイオード(1[A])を回路に組み込むことを前提にします。この整流用ダイオードを使用すると0.6〜0.8[V]ほど電圧が下がるそうですが、この電圧降下は当然考慮しています。
CRDは1個若しくは2個を並列接続するものとし、最もアースに近い場所に整流用ダイオードを接続し、その間に任意の個数だけLEDを直列接続するものとします。
電圧はエンジン運転時の14.4[V]とエンジン停止時の12.0[V]について考えています。また、私の車の場合と限定して(新車購入から2年10ヶ月経過してバッテリーは一度も交換したことがない)エンジン停止時の13.0[V]を追加します。
各記号の説明についてはLED接続回路をご覧ください。


3.6VLED(白色&青色):整流用ダイオードあり

ポジションランプなどをLED化する際に使用するLEDは通常白色(車検に通らないことを前提に青色)を使います。このLEDは3.6V 20mAが定格となっています。
まず、エンジン運転時と停止時についてLED使用個数を変えた場合にCRDが供給できる電流量を下の表に表します。


エンジン運転時(14.4V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 10.0〜10.2 12.5 21.6 18.8
2 6.4〜6.6 13 22 19.0
3 2.8〜3.0 10.5 18.8 16.4

エンジン停止時(13.0V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 8.6〜8.8 12.9 22.0 19.0
2 5.0〜5.2 12.7 21.8 19.0
3 1.4〜1.6 7.5 13.6 12.2

エンジン停止時(12.0V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 7.6〜7.8 13.0 22.0 19.0
2 4.0〜4.2 12.0 20.6 18.1
3 0.4〜0.6 2.8 5.0 4.6

まず、E-153は15[mA]供給が定格だと思っていましたが実際は13[mA]程が最大供給電流でした。


この表を見るとエンジン運転時はLEDを3個直列につないでも電流供給量に大きな差は見られないことがわかります。E-153使用時に3個直列につないだ場合は他に比べて電流量が減少してるため暗くなるでしょう。


エンジン停止時(13.0V)は1個・2個を直列につないだ場合は電流供給量が確保されているものの3個直列につないだものは電流供給量が減少していることがわかります。実際の場合に当てはめると3個ではエンジン運転時は点灯するものの停止時は暗くなると考えられます。
また、エンジン停止時(12.0V)は3個直列につないだものは点灯しない若しくは点灯していても非常に暗い可能性があります。
これらの表よりエンジン停止時にもLEDを点灯させ、且つ明るさが欲しいときは直列には2個までしか接続できないことがわかります。これを良い方に考えると3個直列につないだ物を装着しておいて明るさが極端に低下した場合はそろそろバッテリーの交換時期と言えるかもしれませんね。


1.9VLED(赤色):整流用ダイオードあり

ストップランプは当然赤色なので赤色発光のLEDを使用しますが、この定格は1.9V 20[mA]となっています。3.6VLEDと同じ条件で見積もりを行うと・・・


エンジン運転時(14.4V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 11.7〜11.9 12.3 21.4 18.4
2 9.8〜10.0 12.5 21.8 18.8
3 7.9〜8.1 13 22.0 19.0
4 6.0〜6.2 13 22.0 19.0
5 4.1〜4.3 12 20.6 18.2
6 2.2〜2.4 9.4 16.0 14.8
7 0.3〜0.5 2.5 4.4 4.2

エンジン停止時(13.0V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 10.3〜10.5 12.5 21.6 18.8
2 8.4〜8.6 12.9 22.0 19.0
3 6.5〜6.7 13.0 22.0 19.2
4 4.6〜4.8 12.5 21.6 18.8
5 2.7〜2.9 10.8 19.0 16.8
6 0.8〜1.0 5.4 9.8 8.8

エンジン停止時(12.0V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 9.3〜9.5 12.7 22.0 19.0
2 7.4〜7.6 13.0 22.0 19.0
3 5.5〜5.7 12.7 22.0 18.6
4 3.6〜3.8 11.8 20.4 18.0
5 1.7〜1.9 7 13.0 12.6

このようになります。


エンジン始動時では5個までLEDを接続することができるようです。6個では電流量が減少してそれほど明るくない状態といえるかもしれません。7個以上接続すると供給電流量が極端に減少するためCRDは使用できないことがわかります。
エンジン停止時(13.0V)は5個までLEDを接続することが出来ます。ただし、E-153使用時は定格の50%まで電流が減少するので暗くなるでしょう。
エンジン停止時(12.0V)は4個までLEDを接続することが出来るようになります。それ以上接続すると供給電流量が極端に減少していきます。
これらの表からエンジン停止時にもLED点灯させ、且つ明るさが欲しい場合は直列には4個までしか接続できないことがわかります。


最初私はCRDが電圧変動に対して安定して電流を供給できると考えていましたが、これは使用するLEDの個数が規定以下(正確にはCRDにかかる電圧が3.5[V]以上)の場合においてのみ成り立つことがわかりました。


LEDの定格電圧ごとに接続可能な個数以上を使用したい場合はそれぞれの個数を並列に接続することで可能となります。


ただし、LEDをもっと直列に接続したいと言う場合はCRDは使用できないので抵抗を使用することになると思います。ただし、こちらは電圧変動に対してLEDへの供給電圧電流が変化するので実際にどのようになるのかは今のところ私にはわかりません。


あとで見返してみるとオーディオQさんのHPでCRD接続早見表という中で14.4[V]と12.0[V]時の接続可能LED数が載っていました。まあ、電流値の確認が改めて出来たと言うことで良しとします。


ここまでは1[A]の整流用ダイオードを使用した回路での考察でしたが、この部品は必要ないかもしれません。
と言うのはBOSCHのOptima LEDを分解するとLEDと抵抗(430[Ω])があるだけでした。これで大丈夫?


で、本当に大丈夫なのかどうかを実験してみました。
LED1個+CRD(E-1032個並列)を使用して13.8[V]のAC-DCコンバーターにまず正しい方向で接続すると20[mA]程流れます。当然ですね。
次に逆に接続すると…殆ど流れていません。流れていないことは無いと思いますが持っているテスターでは計測することは出来ませんでした。で、改めて正しい方向で接続すると…ちゃんと点灯してくれました。


どうやら整流用ダイオードは必要なさそうですね。ただし、スウィングレジスターを分解したときに回路上にはLED、抵抗、整流用ダイオードが使用されていました。本当ならば整流用ダイオードを使用したほうがいいのかな?
オーディオQさんのHPを見るとLEDの寿命の関係で整流用ダイオードを使用したほうが良いと書いてありました。並列接続抵抗による逆起電力が関係するとか…


と言うことで可能ならば念のために整流用ダイオードを使用する。スペースの都合上使用できないときは無しというようにしたいと思います。

で、整流用ダイオード無し(これによる電圧降下無し)の場合CRDを使用したときの電流値がどうなるかを見てみたいと思います。


3.6VLED(白色&青色):整流用ダイオードなし

エンジン運転時(14.4V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 10.8 12.5 21.6 18.6
2 7.2 13.0 22.0 19.0
3 3.6 11.6 20.0 17.6

エンジン停止時(13.0V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 9.4 12.7 22.0 19.0
2 5.8 12.7 22.0 19.0
3 2.2 9.0 16.0 14.4

エンジン停止時(12.0V)
LED個数 CRD電圧[V] E-153[mA] E-123×2[mA] E-103×2[mA]
1 8.4 12.7 22.0 19.0
2 4.8 12.5 21.6 18.6
3 1.2 5.8 10.4 9.4

整流用ダイオードを使用したときと比べて電圧が下がったときの電流値が増加しています。両対数表を使用したLEDの特性ですね。
この表からLEDを3個直列接続まではCRDを何とか使用できそうですね。ただバッテリーが少し弱くなったとき(12[V]時)にはやや暗くなりそう…


back

↑このページのトップへ戻る↑