LEDはもともと指向性の非常に強い光であるため散乱させる必要があるときはその配置や構造を工夫しなければなりません。ただし、散乱させすぎれば光は暗くなるし散乱が足らない場合も光の到達範囲外で暗くなってしまいます。
このためメーカーが出している緒元を見て決めなければなりませんが散乱の度合いを表記しているのは度数だけです。度数があれば計算でどうにでもなるのですが、計算しなければならず見ただけではどうもわかりにくいです。
そのためここでは度数を変数にしてLEDの先端を原点として正面方向にある一定の距離離れた場合にどの程度の範囲に光が到達するのかを簡単にまとめてみようと思います。
代表例として日亜のLED(20度、25度、50度、60度、70度)と東芝のLED(4度、7度、10度)を用いる事にします。LEDの角度は必要に応じて適宜増やそうと思います。また、LED正面からの距離を“l[m]”とし、光が到達する半径を“r[m]”とします。
但し、LEDの幾何学中心と光学中心は同じと考えています。(そこまですると複雑になるので)
この表はLEDの角度を選択するあくまで目安(角度自体目安になるので)として見ていただければと思います。
r | 4度 | 7度 | 10度 | 20度 | 25度 | 50度 | 60度 | 70度 | 120度 | 140度 |
l=0.05 | 0.002 | 0.003 | 0.004 | 0.009 | 0.011 | 0.023 | 0.029 | 0.035 | 0.087 | 0.137 |
l=0.10 | 0.003 | 0.006 | 0.009 | 0.018 | 0.022 | 0.047 | 0.058 | 0.070 | 0.173 | 0.275 |
l=0.20 | 0.004 | 0.012 | 0.017 | 0.035 | 0.044 | 0.093 | 0.115 | 0.140 | 0.346 | 0.549 |
l=0.50 | 0.017 | 0.031 | 0.044 | 0.088 | 0.111 | 0.233 | 0.289 | 0.350 | 0.866 | 1.37 |
l=0.70 | 0.024 | 0.043 | 0.061 | 0.123 | 0.155 | 0.326 | 0.404 | 0.490 | 1.21 | 1.92 |
l=1.00 | 0.035 | 0.061 | 0.08 | 0.176 | 0.222 | 0.466 | 0.577 | 0.700 | 1.73 | 2.75 |
l=2.00 | 0.070 | 0.122 | 0.175 | 0.353 | 0.443 | 0.932 | 1.15 | 1.40 | 3.46 | 5.49 |
l=5.00 | 0.175 | 0.306 | 0.437 | 0.882 | 1.11 | 2.33 | 2.89 | 3.50 | 8.66 | 13.7 |
l=10.0 | 0.349 | 0.612 | 0.875 | 1.76 | 2.22 | 4.66 | 5.77 | 7.00 | 17.3 | 27.5 |
l=50.0 | 1.75 | 3.06 | 4.37 | 8.82 | 11.1 | 23.3 | 28.9 | 35.0 | 86.6 | 137 |
l=100 | 3.49 | 6.12 | 8.75 | 17.6 | 22.2 | 46.6 | 57.7 | 70.0 | 173 | 275 |
l=300 | 10.5 | 18.3 | 26.2 | 53.0 | 66.5 | 140 | 173 | 210 | 520 | 824 |
この表によるとLEDからの距離が短くなれば当然照射範囲も狭くなります。
具体的な使用例として、メーター内にあるATシフトポジションインジケーターに使われている電球(確か1.4Wだと思います)をLEDに交換する場合、LEDから反射板までの距離が5cm(=0.05m)照射範囲が長手方向で1cm(光の到達する半径は5mm)の場合はl=0.05を横に見て0.005以上の角度のものを選択すればよいので10度以上で良い事になります。ただし、10度では光のムラが発生するかもしれませんが・・・この場合拡散すればよいと言うことで50度や70度を選択する必要はないと思います。光は反射率の低い面で反射する場合光量が極端に低下します。淡い光を求めるのならばそちらのほうが好都合かもしれませんが、光度を確保したい場合できるだけ散乱させすぎないように選択することになると思います。
さらに、l=0.05で70度のLEDを使用しても照射範囲が狭いと言う場合(例えばエアコンの照明など)はLED先端の透明部分を加工する必要があります。先端の半球部分を切断し表面を磨くことにより照射範囲は70度からさらに広げることが出来るようです。
また、散乱フィルムを使用することで光を散乱させることが出来るようになるそうです。