エンジンオイル&ギアオイルの規格

SAE(Society of American Automotive Engineers )
規格米国自動車技術協会:粘度分類

これはエンジンオイルの粘度に関する分類で、外気温が何度のときにエンジンが始動可能であるか(Winter grade)とエンジンオイルの温度が100℃の時にどの位の粘度(硬さ)を持っているのか(Summer grade)を表しており10W-30等と表示があります。このとき10Wと言う温度でエンジンは始動可能であり、温度が100℃の時に規定の粘度を持っているということです。因みにJZX100(TourerV)の場合外気温が10度以下の場合5W-30、−20度以上の場合は10W-30となっています。
その規格は下の表のようになります。

ウインターグレード
○W
ポンプ吐出温度(℃)
始動可能温度
0W -40
5W -35
10W -30
15W -25
20W -20
25W -15
サマーグレード
-○
動粘度(cSt:100℃) HTHSV(cSt:150℃)
20 5.6〜9.3 2.6以上
30 9.3〜12.5 2.9以上
(0W〜10W)-40 12.5〜16.3 2.9以上
(15W〜25W)-40 12.5〜16.3 3.7以上
50 16.3〜21.9 3.7以上
60 21.9〜26.1 3.7以上

動粘度は数値が大きくなるほど粘度(硬さ)があがっていきます。また、HTHSVは極端に特定の条件なので単純に比較は出来ません。あるひとつの例ですが、粘度は2.6cSt以上ないとオイル膜が薄すぎてエンジンが焼きつくそうです。

また、ギアオイルはエンジンオイルと異なり例えば75W-90等と表示されています。数値がずいぶん高いですが、これは同じSAEでも規格が異なるからです。因みにJZX100(TourerV)の場合ミッションオイルは75W-90、ディファレンシャル(デフ)オイルは85W-90となっています。

ウインターグレード
○W
粘度が150000cp
になる最高温度(℃)
動粘度(cSt:100℃)
70W -55 4.1〜
75W -40 4.1〜
80W -26 7.0〜
85W -12 11.0〜
サマーグレード
-○
動粘度(cSt:100℃)
80 7.0〜11.0
85 11.0〜13.5
90 13.5〜24.0
140 24.0〜41.0
250 41.0〜

API(American Petroleum Institute)
米国石油協会:品質分類

これはエンジンオイルの品質・性能の目安として定められた規格です。API Sの後につくアルファベットがZに近づくほど新しい規格、より高い性能を満たしていると言えるでしょう。

API SA〜SD 古い表示で現在は使用されていない。
API SE 1972〜1979年型エンジンに満足して使える品質を持つ
API SF 1980〜1988年型エンジンに満足して使える性能を持つ
SEより酸化安定性、摩擦防止性が優れている
API SG 1989年以降のエンジンに対応した性能を持つ
SFよりデポジットやスラッジの生成抑制、動弁磨耗性、
酸化防止性に優れている
API SH 1998年にスタートしたエンジンオイルの新認証システム
EOLCSによって始めて認定したオイル
API SJ 1996年10月導入
現在の乗用車殆どすべてに適合したオイル
API SL 2001年7月導入
最新最高級オイル
長寿命かつ日本車の耐磨耗性も向上

ILSAC(International Lubricant Standardization and Approval Committee)
国際潤滑油標準化および認証委員会:省燃費性能

この規格はAPI規格をより厳しくしたものです。ILSAC GF-のあとの数字が大きくなるほど新しい規格、より高い性能を満たしていると言えるでしょう。

ILSAC GF-1 1990年に設定
ILSAC GF-2 1996年に設定
ILSAC GF-3 API SL+新ECの性能を要求
EOLCSにより認証される

ACEA(Association des Constructeurs Europeens d'Automobiles
Association of European Automobile Constructors)
欧州自動車製造者協会

ACEAにより制定された規格です。

A1 低粘度化・省燃費性を要求した設計
A2 一般車向けに設計され、オイル交換も今までどおりの耐久性
A3 新型エンジンに対応しロングドレイン(高耐久性)化に設計
A4 将来のダイレクトインジェクション用規格
A5 2002年度規格 耐久性と省燃費性が加わる

API GL規格

この規格はギアオイルのサービスを分類したものです。因みにJZX100(TourerV)の場合ミッションオイルはGL-3、ディファレンシャル(デフ)オイルはGL-5となっています。

摘要 使用個所
API GL-1 低過重、低速のスパーギア、ヘリカルギア、
ウォームギア及びベベルギアに用いる
自動車では使用されていない
API GL-2 速度、過重のやや過酷な条件下のウォームギア
及びその他のギア(ハイポイドギアを除く)に用いる
特殊な場合を除いて
自動車では使用されていない
API GL-3 GL-1、GL-2レベルのギアオイルに不適当な条件下のギア
(少し局圧が掛かる程度のギア)に用いる
(ハイポイドギアには不適当)
トランスミッション、ステアリングギア、
条件の緩やかなディファレンシャルギア
API GL-4 ハイポイドギア及び極めて過酷な条件下のギアに用いる
高速低トルク、低速高トルクに耐える
ディファレンシャルギア、トランスミッション
ステアリングギア
API GL-5 GL-4より過酷な条件下のハイポイドギアに用いる
高速低トルク、低速高トルク、高速衝撃荷重に耐える
ディファレンシャルギア、LSD
(API GL-6) GL-5よりも過酷な条件のハイポイドギア
(特にオフセットの大きなもの)に用いる
高速低トルク、低速高トルク、高速衝撃過重に耐える
FORDの規格ESW-M2C105A
(特にオフセットの大きいハイポイドギアに使用)を満足するもの
非常に過酷な条件の
ディファレンシャルギアに用いる
大型車両のデフ

すでに規格の廃止が決まっているらしい
GL-6と言うだけでGL-5より高い性能を
要求しているわけではなさそう

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