キャンバーをはかる方法は実に簡単で、糸と錘とスケールと計算機があれば簡単にしかも非常に正確にキャンバーを計測することができます。
何がポイントかというと中学校で習った三角関数(サイン:sin、コサイン:cos、タンジェント:tan)を元にした高校で習う数学です。
この際計算式が1個出てくるのですが可能な限りxとかyとかを使わないようにして実際の値を元に式を作ったつもりですので、ぜひ最後までご覧になって実際にキャンバーを計測してみて下さい。
あ、当然ですが水平な場所を探さなければなりません。実はこれが一番大変かも?
まず、糸の先端に錘をつけます。
糸に錘をつけたものを用意することで垂直を出しているわけです。
って分かりますよね。
で、ホイールの中心あたりに糸が垂れるようにボディに固定します。私の場合は錘がタイヤに当たってしまった為右の画像を見ると分かるように適当なテープなどを使ってタイヤから糸を離す様にしました。
糸を離す距離は適当でかまいません。
アライメントなのにそんないい加減な…
と言うのではなく離した距離は計算式でキャンセルされるからです。(以下で順番に説明していきます)
で、スケールでホイール(上端、下端)から糸までの距離を測ります。
右の場合
・上端:41.5mm
・下端:28.5mm
でした。
それと測った場所2点間の距離(この場合ホイールのリム直径)を測ります。
・499mm
あ、当然計測する箇所はリムが曲がっていないことが絶対条件です。曲がっている場合は計測点を内側にしましょう。
ちなみにホイールから糸までの距離ですが、出来れば0.5mm単位(まあスケールに0.5mmの目盛りは無いでしょうが、感で)で測ったほうがいいかな?
といっても片方が0.5mm変わってもキャンバー値は0.05°(=0.05÷60×100=0.0833…′)程度変わるだけです。1mm変わっても0.1°(=0.10÷60×100=0.166…′)です。
ちなみにキャンバーの許容値はJZX100の場合±0.30′(=0.30×60÷100=0.50)なので誤差に含まれます。当然ですが、正確に計測するに越したことはありません。誤差を0.5mm以下に抑えることが出来れば最新のアライメントテスターも目じゃない!?
続いて計算に移りますが、タイヤ(この場合運転席側リアタイヤ)を後ろ側から見ると右の図のようになります。
右端の垂直線が用意した糸、左の斜めになっているのはホイールのリム直径、上下の値がホイールから糸までの距離になります。
で、測りたいのはθ=キャンバー角度となります。
θを求めたい場合、499という斜めの長さと上端左端から一番近い垂直線までの長さがあれば三角関数を使って求めることが出来ます。
高校で習った三角関数…sin-1(アークサイン)って習ったの高校生じゃなかたっけ?
sin-1って何時習ったんだっけ?
sin 30°=1/2、sin 45°=1/√2、sin 30°=√3/2ってのは覚えてますよね?
sinは角度から値を出すのですが、今回使うのはこの逆の関係で、sin-1は逆に角度を出す関数となります。
この場合(単位は度)
となり、約1.49°=1°29′となります。
上の式を見るとこれで糸を離す距離が適当でいいという理由が分かりますね。単純な引き算をすることで右の図で言うと台形が三角形になっています。
実際はホイールの上端が内側(車体中心方向)は-(マイナス)、外側が+(プラス)と決められているので-1.49度ということになります。
この値が求めたかったキャンバー角度と言うことになります。
関数電卓だと
sin-1((41.5-28.5)/499)
と打つと値が出てきますね。
私関数電卓持ってないと言う方はExcelで
=ASIN((41.5-28.5)/499)/PI()*180
と打つと値が出てきます。
Excelの場合は角度がラジアンで出てくるためπ(=3.1415…)で割って180をかけなければなりませんよね。
関数電卓もExcelも持ってないorいちいちPC使うのめんどくさいと言う方のために表を作りました。右の画像をクリックすると別ウィンドウで開きます。
式自体は別に何も難しいことは無く
θ=sin-1(x)
です。
xと言うのが(41.5-28.5)÷499=0.026052…などという値です。
表を見ると1.49よりもちょっと大きく、1.50よりも小さいと言うことで1.49位(実際は1.492…)であると言うことになります。
この表を使うとホイールサイズ、計測場所に寄らず角度を出すことが出来ます。
ホイールから糸までの距離を計測した2点間の距離で割っているだけなので普通の電卓があればこの表と答えがあれば角度が出てきます。
但し、角度は0.01°刻みにしているので近い値のところの角度と言うことになります。まあ近似しても±0.01°なので誤差の範囲に含まれます。
で、これを4箇所について同じ事をすると全てのキャンバー角度が出てきます。
他にtan-1を使った計算方法もあるのですが、計測が難しくなるのでこちらの方法のほうがお勧めです。
sin-1を使った場合とtan-1を使った場合の難易度の差と計測誤差が及ぼす計算値への影響ですが…分かりやすく説明します。
後者の場合は上下測定点を基準にして糸の長さ(右上の図で言うと縦の線)を測らなければなりません。
この場合の測り方ですが、上下で定規をホイールに当てて値を読んだ位置の糸の点に印をつけて、糸の長さを測って…としなければなりません。糸は振れが止まれば絶対に垂直なのですが、少し触れるだけで動いてしまいます。ということで後者の測定は面倒!
そんなことをするくらいならば測定点を繋ぐ線(この場合ホイール)の長さを測ってあげたほうがはるかに簡単です、ホイールは少し触れたくらいでは絶対に動きませんからね。
ってえらそうなことを言っていますが最初tan-1で計算しようとしたというのはヒミツです(^▽^笑)でもそのすぐ後にめんどくさいと思い上記の方法になったということで…
私の場合は
FL | FR |
-1.49 | -0.63 |
RL | RR |
-2.64 | -1.49 |
計測場所が悪かったのか、アライメントを一度も取っていないのか…
前者もあり、後者もありと言う感じでしょうね。