ドライバッテリー対応全自動充電器 AD-0002 シリーズ


自動車用のバッテリーは常に満充電で使用することが理想とされています。
簡単に満充電といいますが、通勤距離が短いや週末ドライバーの場合は難しい場合が多いです。
バッテリーを自動車に装着した状態では暗電流により常に微量の電流を消費しており、エンジンを掛けている状態で満充電できなければ、容量が減っている状態で常に使い続けることになりサルフェーションが発生しやすい状態になりバッテリーの寿命が短くなってしまいます。


旧来あったバッテリー充電器の目的は減少した容量の回復でしたが、AC Delcoのバッテリー充電器は容量の回復だけでなく、電極版の回復(サルフェーションの軽減・除去)による始動性能の回復、バッテリーの長寿命化を行うことが可能です。


高度な機能と複雑な充電ロジックを持っているにもかかわらず、操作は非常に簡単で付属の説明書を見ながら感覚での操作が可能なほどです。
ですが、その高機能について説明書で十分に説明されていないのが残念…
使い方については私の理解用に作ったAC Delco AD-0002 取扱説明書を御覧ください。


私がこの充電器を使った感想などにつきましては随時Privategarage100 by みんカラバージョン バッテリーにて報告していきたいと思います。
私のバッテリーの状態がかなりが悪いのか?自動で充電完了にはなりませんが、下記のテスト結果を見る限り性能が50%程度まで低下していたバッテリーがほぼ100%程度まで回復しているようです。
バッテリーチェック

その後、バッテリーを買い換えはしたもののたまに(1ヶ月に1度ほど)充電を行なっているので今のところ新しいバッテリーも1発で始動してくれています。


サルフェーションの解消:デサルフェーション

サルフェーションはバッテリー内部の金属板に結晶が付着した状態ですが、この解消には高電圧・高周波パルスを流すことで解消ができるとされています。
自動車に装着した状態でバッテリー付近に装置を取り付けサルフェーションを解消するというものもありますが、最初は眉唾?怪しい…と思っていました。
ですが、AC Delcoというバッテリーや自動車用品を多数製造しているメーカーよりサルフェーションを解消することの出来る機能を持った充電器が販売されているということで興味と信頼性を持ち出しました。
バッテリーの状態によりますが、劣化し使用期限を迎えていたと思われるバッテリーが回復したという例が多数寄せられており(過度の信頼は禁物)、日常のメンテナンスも行えることと、週末ドライバーや長期出張中の自動メンテナンス(AD-0002とAD-0005)も行えます。
尚、サルフェーションの解消はデサルフェーションと呼ばれているようです。


多段階マルチモード充電による充電時間の短縮

AC Delco 充電モードAC Delcoが行う充電時間の短縮は急速充電とは全く異なり、バッテリーに負担をかけること無く充電時間を短縮する技術です。
AD-0002とAD-0005は右のような充電モードで動作します。
AD-0001はStage4はありません。

急速充電とは通常バッテリーに18[V]前後の高電圧を印加し30分程で充電を行わせる状態で、バッテリーに負担をかけることがありあまり推奨されておらず、AD-0001とAD-0002に急速充電の機能はありません。


Stage1:最大電流モード

バッテリーの充電は最大電流で行われ、バッテリー電圧を増加させます。
最大電流は設定(AD-0002では2/6/12/15[A]から選択)された値になり、バッテリーメーカーの推奨する値を超えないように設定する必要があります。通常は5時間率容量の10分の1(オプティマバッテリーの場合10[A])です。

5時間率はバッテリーのページに表を載せているので御覧ください。

バッテリーメーカーの推奨する電流値が5[A]の場合(5時間率が50[A])はこれを超えないということで2[A]で充電することになりますが、充電電流がバッテリーの推奨する電流を下回る場合は充電に少し時間がかかるようになります。この場合でも満充電を行うことは可能です。
Amazonに掲載の AD-0002 Q&A には5時間率容量の10分の1より大きな電流値で充電を行うとの表示が?自動的に最適充電流に下がり充電を開始するそうですが…
確認したところ電圧はStage毎に制御を行っており、電圧に応じた電流を流すような制御になっていました。
例えば、10[A]で充電を開始してもStageが進むと電流が下がり、私の確認した状態で5[A]まで下がっていました。


Stage2:定電圧モード

充電電圧は14.7[V]で動作します。
充電電流は最大になった後、充電が進むに連れ自然にバッテリーの内部抵抗が増加する際、充電電流は徐々に減少します。


Stage3:最大出力モード

充電電圧は16[V]に増加し(AD-0002の場合)電流は徐々に減少しますが、バッテリー内部の電極版に付着したサルフェーションの解除と状態回復の間、充電器の消費電力は最大になり、十分な電流を供給します。
但し、充電電圧は内蔵されているバッテリーテスターにより16[V]以下で制御されることもあります。


Stage3 INTEC POWER XT3

サルフェーション除去には高電圧・高周波パルスの印加が最も効果的とされていますが、INTEC POWER XT3は動作する最高電圧にて高周波パルスを印加することで最も効果的にサルフェーションを除去することができます。
これは特別な操作は必要なく、通常充電を行うことで自動でこのモードに入ることが出来ます。


Stage4:維持充電モード(AD-0002とAD-0005のみ)

維持充電(トリクルチャージ)を行うことで、バッテリーを常に満充電の状態に保ちます。
バッテリー電圧と電流は図では一定になっていますが、この充電器は満充電後に過充電を防止するために電力供給を遮断します。
この際自動でオートウェイクアップモードに入りバッテリー電圧を監視し、電圧の低下(12.2[V]以下)を検知すると0.8[A]程度の電流にて自動で再充電を行う設計になっています。
このため、過充電を防止するとともにバッテリーを常に満充電の状態に保つことができます。


サルフェーションの除去を行う高周波パルスは全ステージで行われていますが、サルフェーションの除去とバッテリー性能の回復はStage3でその効果が最も高くなるようです。
ということはメーカーの保障の対象外になるかもしれませんが、サルフェーションが進行したバッテリーはStage3(もっと言うとINTEC POWER XT3の状態)を繰り返し行うことで性能の回復させることが出来るのかもしれません。
このことは充電完了後も性能が100%に戻らないバッテリーで何度か通常充電を繰り返すことで性能が回復すると言われていることから推測されます。


コンピューター制御によるバッテリー状態の確認と自動充電モード

AC Delcoの充電器は、バッテリーの状態、セルの不具合、蓄電能力等を検出するバッテリーテスターを内蔵しています。また、バッテリーの内部抵抗、充電中の内部抵抗を検出することも出来ます。

抵抗が低い場合:高い電流にて充電を行います。
抵抗が高い場合:低い電流にて充電を行います。
バッテリーの状態を常にモニタリングすることにより、バッテリーにダメージを与えること無く、充電時間を短縮することが出来ます。


適合バッテリー

適合バッテリーは

  • オープンバッテリー(開放型)
  • シールドバッテリー(密閉型)
  • ドライバッテリー(密閉型)
  • ディープサイクルバッテリー(開放型・密閉型)

となっておりまして、
オープンバッテリー(開放型)は通常の液入りバッテリー(ウェットバッテリー)、
シールドバッテリー(密閉型)はBOSHCのHightec Silver II BatteryやAC Delcoなどの液入り(ウェットタイプ)のメンテナンスフリーバッテリー、
ドライバッテリー(密閉型)はOPTIMA レッドトップ、ブルートップやODYSSEY、
ディープサイクルバッテリーはOPTIMA イエロートップ
等が含まれ、非常に多岐にわたります。


ほぼ適合バッテリーを選ばないため、一家に複数台所有がよくある副都心や田舎にお住まいの方は、1台あれば複数台のバッテリーのメンテナンスに使うことも出来てお得に使い回すことが出来ます。


オートウェイクアップモードとメンテナンスモードの違い

AD-0002とAD-0005には充電終了後も満充電を保つ機能と、通常では充電できないバッテリーへの充電・サルフェーションを解消することに特化した機能を持っています。
ネットを見るとこの機能の違いが説明書で十分に説明されていない(英語のマニュアルと日本語マニュアルの違いと英語と日本語のニュアンスの違いがあり分かりにくい)のでまとめてみたいと思います。


メンテナンスモードとは(AD-0002とAD-0005のみ)

メンテナンスモードはAD-0002とAD-0005に備わっている機能です。
時間をかけてサルフェーションの除去を行いたい、ゆっくりと充電を行いたい、2[A]では電流が流れすぎる、通常モードで充電ができないという場合に行うモードです。
また、全自動バッテリー充電モードで満充電できない場合に、メンテナンスモードを使うことでバッテリー性能の回復を行う(およそ24〜48時間のメンテナンスモードの後、全自動バッテリー充電モードで充電を行う))ことも出来ます。
このモードは微弱な電流を流すので時間は全自動バッテリー充電モードよりもかなり必要になります。


AC Delcoのバッテリー充電器は充電中常に高周波パルスを発生させ、サルフェーション低減の効果があります。この効果が最大になるのは通常充電のStage3(もっと言うとINTEC POWER XT3の状態)になります。
容量(電圧)の低下したバッテリーの容量の回復とサルフェーションの除去を行うのであれば、通常の充電モードが最も適しています。また、AD-0002とAD-0005であれば充電完了後、Stage4に入り満充電を維持することが可能です。
ですが、極端に電圧が低下したバッテリーではAD-0001で充電を行うことが出来ません。


メンテナンスモードとはこのような状態(AD-0001や他の充電器でも充電ができない状態)でも通常充電が可能な状態まで電圧を回復させるための専用のモードで、14[V]ー最大0.8[A]の微弱な電流を流す状態です、充電可能な容量までバッテリーを回復させます。
(全てのバッテリーが回復できるわけではありません)
メンテナンスモードは通常の充電モードとは異なり任意に設定する必要があります。
また、推奨充電電流が2[A]を下回る小型のバッテリーなどにもこのモードで充電を行うことが出来るようです。


メンテナンスモードでの充電完了後は電圧を監視し再充電を行うオートウェイクアップモードへ入ります。


※サルフェーション除去には高電圧・高周波パルスが最も効果的とされています。但し、極度な高電圧の印加はバッテリー内部の金属板の損傷、車両に接続したままだと電子機器の損傷につながるため、オメガ プロ OP-0007のみに搭載されるサルフェーション除去モードを連続して使用することは出来ません。


オートウェイクアップモードとは(AD-0002とAD-0005のみ)

充電中は常に高周波パルスを発生させサルフェーション除去の効果があるよう設計されていますが、全自動バッテリー充電モードとメンテナンスモードでの充電終了後は過充電を防止するために、回路を遮断し充電を終了させる(AD-0001にも終了させる機能は備わっていますが、オートウェイクアップモードは有りません)のですが、暗電流の消費によりバッテリー容量が50%以下(電圧が12.2[V]以下)になると再度充電を開始します。
この機能により外気温が低い状態、長期間エンジンを始動させない状態でもバッテリーを満充電に保つことで次回のエンジン始動をスムーズに行うことが出来ます。
オートウェイクアップモードはAD-0002とAD-0005に備わっている機能で、充電終了後は自動でこのモードに入るので特別な設定は不要です。


各バッテリー充電器の特徴

AD-0001

6[V]バッテリーであれば8〜12[Ah]、12[V]バッテリーであれば8〜60[Ah]の容量までが対象となり、バッテリーを保護する基本的な性能を持ち、充電中にサルフェーション解消も行うことが出来ます。(メンテナンスモード:AD-0002とAD-0005にのみ搭載の機能は有りません)
バッテリーを充電できる機能に加え、サルフェーション解消も行うことができるので下手なサルフェーション解消機能のみを持ったパーツを購入するよりもお買い得だと思います。
バッテリーを車両に接続したまま充電することが可能で、充電はIC制御により行うことで充電完了後は出力を遮断することで過充電を保護することで、一度接続し充電を開始すると完了まで無用な操作は必要ありません。
バッテリーのメンテナンス的な用途であればAD-0001は十分な機能を持っています。
対象は液入り開放型バッテリー、液入り密封型バッテリー、ドライバッテリー、ディープサイクルバッテリー等です。
ドライバッテリーは通常の充電器では満充電が出来ないとされていますが、全自動パルス充電機能を備えておりドライバッテリーでも満充電が可能です。
特にバッテリー価格の高い輸入車用のバッテリー、ドライバッテリーを使っているユーザーにおすすめです。


AD-0002

12[V]で12〜140[Ah]と幅広い容量までが対象になり、AD-0001の基本的な性能に加え、AD-0001で充電ができないような状態のバッテリーも特別な充電機能(メンテナンスモード)を備えることで性能の回復を行うことが出来ます。
メンテナンスモードは、内部損傷を起こしたバッテリーを除いた普通の充電器(AD-0001も含む)で充電ができない、劣化が進んだバッテリーの機能を回復することも出来ます。(回復不可能なバッテリーもあります)
また、バッテリーを車両に接続したまま充電を行うことはもちろん、充電完了後出力を遮断することで過充電を保護することはもちろん、バッテリー電圧の低下を検知すると再び充電を開始し、まさに接続したまま常に満充電を保つことが出来るメンテナンスフリーを実現しています。
AD-0001にオススメのユーザーに加えて、とくにガレージを持っている週末ドライバーやあまり乗る機会のないセカンドカーをお持ちの方等におすすめです。


AD-0005

12[V]で16〜176[Ah]とAD-0002よりもさらに大容量のバッテリーまでが対象になり、基本的な性能はAD-0002と全く同じです。
さらに、エンジンスターター機能を持ち突然のバッテリー上がりにもエンジンを始動可能な容量まで急速充電を行うことが出来ます。


ACDelco バッテリー充電器シリーズ

AD-0001
AD-0002
AD-0005
動作電圧 6/12[V] 12[V] 12[V]
動作電流 2/4/6[A] 2/6/10/12/15[A] 2/10/20/30/40[A]
エンジンスターター時は
100[A]
出力(最大) 80[W] 200[W] 685[W]
1350[W]
エンジンスターター時
適合
バッテリー
タイプ
オープンバッテリー(開放型)
シールドバッテリー(密閉型)
ドライバッテリー(密閉型)
ディープサイクルバッテリー(開放型・密閉型)
適合
バッテリー
鉛バッテリー
ハイブリッドバッテリー
カルシウムバッテリー
シルバーバッテリー
メンテナンスフリーバッテリー
対応容量 6[V] 8〜12[Ah]
12[V] 8〜60[Ah]
12[V]
12〜140[Ah]
12[V]
16〜176[Ah]
充電方式 3 Stage 4 Stage
制御方式 IC制御 マイコン制御
全自動
パルス充電
サルフェーション
解消 
○ 
充電中にも高周波パルスを流すことで、サルフェーションを軽減しながら満充電する機能
極度のバッテリー電圧の低下にはAD-0001では動作出来ないことがあり、この場合はAD-0002やAD-0005のメンテナンスモードが必要となります
オートウェイク
アップモード
x
充電終了後、バッテリー電圧を監視し、電圧低下が発生すると再度充電を開始することで、バッテリーを最適な状態に保つ機能
バッテリー回路短絡
保護機能
充電中に過電流が流れると判断した場合、充電を停止させる機能
過充電
保護機能
充電終了後、充電を停止させ過充電(オーバーチャージ)を保護する機能
スパークレス
機能
充電クリップ接続時に火花を発生させず、安全に装着する機能
誤接続保護
充電クリップのプラス、マイナスの誤接続を検知した場合、機能を停止させ充電器と車両(バッテリー)を保護する機能
バッテリー
検査機能
x
バッテリーテスターを内蔵し、バッテリーの状態を検査する機能
メンテナンス
モード
x
極度に電圧の低下したバッテリーを通常充電できるよう回復させる機能
サルフェーション
解消方式
パルス パルス + Stage 3
エンジンスターター
機能
x ○(100A)
エンジンスタートに必要な大電流を流し、突然のバッテリー上がりが発生し車両を急遽使用しなければならない場合に、エンジンスタートをさせる機能
オルタネーター
簡易診断機能
x
テスターを内蔵し、エンジンを始動させたまま操作を行うことで、オルタネーターの状態を簡易的に診断する機能
連続充電機能

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