バッテリーを水に置き換えると電圧は水を蓄えた場所(タンク)の高さ(電圧が高い=位置が高い)、流すことの出来る電流の量はタンクから出ているパイプの太さ(大量の電流を流せる=パイプが太い)、電気の容量はタンクに蓄えられている水の量と考えることが出来ます。
大量の電気を流すためには電圧を高くする(タンクを高い位置に設置する)または電流を多く流す(パイプを太くする)ということが考えられます。
CCA(Cold Cranking Ampere)とは冷間時の始動性能を測定する方法で、バッテリーの性能=始動性ということで、どのくらい始動に必要な電流を流せる力があるかというテストです。
具体的なテスト方法は、-18℃の状態で30秒間かけてバッテリー電圧を7.5Vまで降下させ、消費した電流値がどのくらいなのか?を調べます。
実際に7.5Vまで電圧を低下させるまで放電させるのではなく、バッテリーの内部抵抗を元にして値を算出するので、バッテリーに負担をかけることがなく、バッテリー本来の性能を計測することが出来るとされています。
これは主にヨーロッパやアメリカで採用されている方法です。
これに対して旧来の日本では電流をある一定量流してその前後の電圧を計測することで、電流を流してどのくらいの電圧が確保できているのか(残りどの程度の容量があるのか)という方法で計測していました。
賛否両論があると思いますが、現在は確実にCCAを計測する方法に移っています。
何故ヨーロッパやアメリカでCCAを計測する方法が行われているのか?ということですが、始動時の性能を計測するという自動車に取って最も必要な値であるためです。
どのくらいの電気の容量を蓄えられているのかというのでは無く、バッテリーの性能=エンジンの始動性と考えているためです。
(セルモーターを回しエンジンを指導する瞬間が最も電気を消費する)
つまりバッテリーはエンジンを始動する際に最も電気を消費する(バッテリーはエンジンを掛けるのがもっとも重要な目的)ので、少ない電流を長時間流すというのではなく、いかに短時間に大量の電流を流すというのがバッテリーに最も重要な性能と考えているためです。
大量の電気を蓄えていても(タンクに十分水が蓄えている状態)、エンジンを掛けるために必要な電流を流せない(パイプが細い)のでは意味がありません。
CCA値というのはエンジンの始動性能を計測する方法ですが、新品のバッテリーでも電気を消費させ電圧が低下しているとCCA値が低く表示されます。
これは計測を行う際にどのくらい短時間に電流を流せるのか?という値なので容量が少なくなると当然CCA値も低くなります。
これはバッテリーが放電するにつれ内部抵抗が増加していくためで、この場合は充電を行う(タンクに水を入れる)ことで性能を回復させることが可能です。
CCAはバッテリーの残り容量を直接計測する方法ではないのですが、大まかに判断することも可能です。
新品のバッテリーでも電気を消費させるとCCAが低く表示されますが、バッテリーの性能が低下している要因の一つと言われるサルフェーションが発生していても内部抵抗が増加し、CCAが低く表示されるようになります。
また、電極版が損傷していても、内部抵抗が増加し流すことの出来る電流値が少なくなるので、CCAが低く表示されるようになります。
つまりCCAが低い状態というのは容量が少なくなっている状態と、サルフェーションが発生している、電極版の損傷という状態を表している事になります。
誤解を恐れずに言うとCCAはバッテリーの状態を表すひとつの値であってバッテリーの状態全てを表す値では無いということです。
ただ、補足するとバッテリーの状態をかなり正確に表す値であることは確かです。
CCAだけで判断することが出来ないという理由の一つと考えられるのですが、CCAが低いというのは
が考えられるため、CCAが低いだけで一概にバッテリーの寿命が来ていると考えることは出来ません。
これがCCA値が性能の全てではないという理由です。
これはバッテリーに蓄えられている容量が少ない(タンクの水が少ない)という状態です。
上で出たことですが、新品のバッテリーでも電気を消費させるとCCAが低くなるので、充電を行うことで性能を回復させることが可能です。
バッテリーを交換して間もない状態でCCAが低いというのは何か原因があるのでそれを特定しなければなりません。
エンジンを停止した状態でライトをつけっぱなしにしてしまったというのが考えられます。
また漏電しているというのも考えられます。これは暗電流を計測することで確認することが出来ますが、漏電箇所の特定は難しいともいますが…
この他にオルタネーターが発電していないというのも考えられます。これはエンジンを掛けている状態で電圧を計測することで確認することができます。
多機能のバッテリーテスターだとオルタネーターテストとスターターテストも行うことが出来るようです。
これはバッテリー内部の電極版に通電性のない結晶が発生し、電気を蓄えていても(電解液の比重が高い状態でも)電流を十分に流せない(パイプの内部にゴミが付着して細くなっている)という状態です。
通常電圧が下がりエンジンスタートが出来ない状態で、充電を行っても性能が回復しないため一般的にバッテリーの寿命が来たと言われています。
バッテリーの性能が低下している要因の一つと言われ、満充電でない状態が続くとサルフェーションが発生すると言われています。
サルフェーションの解消には歴史がありアメリカでは10年ほど前から高電圧高周波を流すことでサルフェーションを解消(除去)する方法が考えられ、行われていたようです。
(ゴミを掃除しパイプの太さを元に戻す状態)
但し、除去するための高電圧がバッテリー内部の金属板に損傷を与えたり、車両に接続したままだとコンピューターにも高電圧高周波を流すことで不具合が発生していたそうです。
(日本車に使われている電子機器の耐電圧は36V程と言われあまり問題が無いと言われているそうですが…)
現在では、サルフェーションを除去する小型の装置が販売されており、電圧の制御を厳密に行ったり、電圧の低下を検知すると動作を停止する機能が組み込まれています。
あまり粗悪な装置だとバッテリーの性能を回復させることが出来ず損傷させ、車両も損傷する可能性があるようなので、サルフェーションの解消には信頼できるメーカーの物を使用したいですね。
私が確認したところでは、全てのバッテリーの状態には当てはまらないこともあるようですが、充電機能のみならず、バッテリーに負担をかけない状態で満充電の状態を保つ事ができ、かつサルフェーションを解消することが出来る充電器についてはサルフェーション解消機能付き充電器 AC Delco ADシリーズを御覧ください。
エンジンスタートが出来ないが、充電を行うことでエンジンスタートが出来るようになる状態で、CCAが低い状態だとサルフェーションが発生していることが考えられ(電極版が損傷していると充電してもエンジンスタートが出来ない)これを解消することでバッテリー性能を回復できる可能性があります。
バッテリーは6室に分かれ、1室で2Vの電圧を発生させることができるので2V×6=12Vの電圧を発生させることが可能です。24Vの場合は12室に分かれています。
一般的には、1室にはメッシュ状の電極版(表面積を増やすため)がプラス側とマイナス側の2枚あり間に電極板同士の接触を防ぐ保護材が入っているという構造になっています。
メッシュ状の電極板が振動や長時間の過電流などにより損傷し脱落してしま(パイプが壊れている状態)うと、電極版の有効表面積が減り必要な電気を流すことが出来なくなってしまいます。
この状態は外部から電極版を修復することは出来ないので、バッテリーを交換するしか方法がありません。
鉄腕ダッシュの日本一筆書きで、バッテリー液が噴出するという事件がありましたが、これは電極坂同士が接触しショートした状態になり、過電流が流れることでバッテリー液が沸騰してしまった状態です。
エンジンの排気量が大きくなるとピストンで押す空気の量が増えるのでセルモーター(スターター)に力が必要になり、より多くの電流が必要になります。
排気量別に必要と言われるCCAは
とされているようです。
確かに私のチェイサーに純正装着されているバッテリーのCCAはおおよそ400CCA程度になっています。
バッテリーが弱くなって販売店に行くとサイズアップを進められますが、これは何故でしょうか?
大容量のバッテリーになると電極版の有効面積が大きくなり、サルフェーションが発生してもエンジンスタートに必要なCCAを確保出来る期間が長くなるためではないでしょうか?
エンジンスタートに必要な最小限のCCA(最小限の有効面積を持った電極版)では性能が劣化した際(サルフェーションが発生し続ける際)に有効面積が少なくなるため、エンジンスタートに必要なCCAを確保出来なくなるためだと思います。
確かにCCAを元にして私のOPTIMAを診断すると(新品で815CCA)4年使用した状態で性能はおおよそ50%(415[CCA]、バッテリー端子開放電圧12.2[V]、車両接続電圧12.09[V])迄落ち込んでいますが、私の車を始動するのに必要な400CCAは確保できている状態ですので、しばらくの間使うことも可能です。
バッテリーサイズ (JIS) |
形式 | 5HR容量 (Ah) |
CCA | 最大外形寸法(mm) | 電池質量液入 約(kg) 参考 |
||
長 | 幅 | 箱高 総高 |
|||||
A19 | 30A19R(L) | 22 | 230 | 185 | 125 | 160 175 |
7.4 |
B19 | 34B19R(L) | 27 | |||||
38B19R(L) | 28 | 265 | |||||
40B19R(L) | 30 | 270 | 185 | 125 | 200 227 |
9.3 | |
44B19R(L) | 34 | 310 | 10.0 | ||||
B24 | 46B24R(L) | 36 | 295 | 236 | 126 | 200 227 |
11.1 |
50B24R(L) | 325 | 11.5 | |||||
55B24R(L) | 370 | 11.8 | |||||
60B24R(L) | 38 | 405 | 12.7 | ||||
65B24R(L) | 445 | ||||||
D23 | 55D23R(L) | 48 | 320 | 230 | 169 | 200 225 |
14.5 |
65D23R(L) | 52 | 370 | 15.4 | ||||
75D23R(L) | 465 | 15.5 | |||||
80D23R(L) | 54 | 500 | 16.6 | ||||
85D23R(L) | 530 | ||||||
D26 | 75D26R(L) | 52 | 450 | 257 | 170 | 200 225 |
17.0 |
80D26R(L) | 55 | 490 | 17.5 | ||||
85D26R(L) | 525 | 18.6 | |||||
90D26R(L) | 58 | 550 | 18.9 | ||||
110D26R(L) | 64 | 670 | |||||
D31 | 95D31R(L) | 565 | 304 | 171 | 200 225 |
20.4 | |
105D31R(L) | 655 | 22.3 | |||||
115D31R(L) | 72 | 735 | 22.7 |