ドライバッテリーのメリットとデメリットと充電

通常車に装着されているバッテリー(液体の希硫酸が入っているもの)に対してオプティマなどに代表されるドライバッテリーと言われるバッテリーがあります。
これは希硫酸を紙のようなものに吸い込ませたりやゲル状にすることで液体を無くした物(=ドライ)のためそう言われており、一般的に瞬間的に取り出すことのできる電流が通常のバッテリーに比べて多く、装着方法に自由があり(通常のバッテリーは傾けると液体が出てくるため絶対にNG)、寿命が長いなどといわれています。
実際オプティマバッテリーを装着した方もセルの回り方が力強くなった、始動性が良くなったという印象を持たれているようです。


しかしながらドライバッテリーにも欠点があります。“良いと言われているドライバッテリーを装着したけど1年持たずに使えなくなった”という話をちょくちょく聞きますが、これこそがドライバッテリーの欠点の一つです。
と言うのはドライバッテリーは大電流を取り出せる、メンテナンスフリー等のメリットが全面に出されており、液入りバッテリーに比べて非常に丈夫で長寿命なバッテリーという認識になってしまっています。
ドライバッテリーの欠点というのは車に装着したまま高い耐久性を持って使い続けられるという誤った認識によるものです。


確かに自己放電が少なく長期間保管してもエンジンの始動が可能ですが、これはバッテリー端子を接続していない状態ということになります。


長期出張が有り、エンジンを長期間始動させないのでバッテリー端子を外しておけば、再度バッテリー端子を接続するとエンジンの始動は可能になると思いますが、バッテリー端子を接続したまま放置しておくと当然バッテリーは上がってしまいます。
というのは車というのはエンジンを停止して鍵を抜いている状態でも常に微量の電流(30〜60mA)を消費しているためです。
バッテリーに蓄えられている電気の容量は当然上限があるわけですから、常に電気を流していると充電(エンジンを掛けるなど)しなければ上がってしまいます。


たまにしか車に乗らない人が装着するとあっという間に寿命がきてしまうというのはこのためです。

たまにしか車に乗らない

放置している間に消費した電気の量を車にのっている間に充電しきれない

常に満充電ではない状態

サルフェーションなどにより電極版にダメージが蓄積

使用期限を迎える


これはドライバッテリーだけでなく液入りバッテリーを含めた全てのバッテリーの宿命です。
リチウムイオン電池等の充電可能な乾電池の保管は容量のおおよそ80%程度で保管するのが良いとされていますが、硫酸の入った液入り、ドライを含めた自動車用バッテリーは常に満充電で保管されるのが最も寿命が長くなる状態となります。


バッテリーに蓄えられている電気の容量は比重計を使うことで判断することが出来ますが、ドライバッテリーは密封されているので比重計を使うことは出来ず電圧で判断するのが最も簡単です。
ドライバッテリーの種類にも寄るので一概には言えませんが、詳しくはOPTIMA(オプティマ)バッテリーの電圧-容量を御覧ください。


と言うことであまり車に乗らない人にはドライバッテリーは不適です。あまり車に乗らないけれどどうしてもドライバッテリーを使いたいと言う人はドライバッテリー専用の充電器を購入してバッテリーの電圧が下がったと思ったら頻繁に充電してあげれば寿命は通常のバッテリーよりも長くなるようです。


また、全てのバッテリーには寿命がありますが、寿命を迎えたバッテリーの状態として金属板に結晶が発生するサルフェーションという状態があります。
この結晶は通電性がなく金属板の有効面積が減り瞬間的に取り出すことの出来る電流が少なくなるだけでなく、少ない面積を常に使用することになり金属板への負担が増加してしまいます。


ドライバッテリーの充電

ドライバッテリーと言えども電圧は12[V]で、指定通りの電圧・電流ならば充電を行うことは可能です。この電圧はおおよそ14.8[V]程度まで(バッテリーにより異なります)で、シールドバッテリー(密封型=メンテナンスフリー)も同じ程度だと思います。
但し、通常のバッテリー充電器は液入り用(開放型)に作られており、ドライバッテリーに使うには電圧が高すぎる場合があります。このため、ドライバッテリー(シールドバッテリーも)には専用の充電器が必要と言われています。
ドライバッテリーやシールドバッテリーの充電電圧が14.8[V]程度までというのは、開放型はバッテリー液を継ぎ足す必要があるため空気抜きの穴がありますが、ドライバッテリーやシールドバッテリーには空気抜きの穴はあるものの非常に小さく、電圧を上げ過ぎると温度の上昇により内部空気が膨張し破裂するおそれがあるので、開放型よりも指定電圧が低く設定されています。
このため、開放型よりも低い電圧=満充電になりにくい=専用の充電器が必要と言われているわけです。
ドライバッテリー専用充電器といえば通常2〜3万円程するのですが、自動車用部品(バッテリーも含む)を多数製造しているAC Delcoからドライバッテリーにも対応可能な充電器が販売されています。これは下記でも触れていますが、サルフェーションも解消可能です。
詳しくはサルフェーション解消機能付き充電器 ACDelco ADシリーズを御覧ください。


サルフェーション解消

常に満充電されていない状態で使用を続けるとバッテリー内部の金属板にサルフェーションという結晶が付着する状態になってしまいますが、これはバッテリーの寿命を迎える状態の一つです。
逆に言うとサルフェーションが原因であればサルフェーションを解消することが出来ればバッテリーはまだ使い続けられるということになります。
この解消にはバッテリーへ微量な高周波を与えるという方法があります。
これは小型の装置を取り付けるという方法もありますが、そこそこいい値段(1万円ほど)がしますのでサルフェーション解消機能付きのバッテリー充電器のほうが補充電や満充電を行うことも出来ますし結果的にコストを抑えることも出来るかと思います。
詳しくはサルフェーション解消機能付き充電器 ACDelco ADシリーズを御覧ください。

サルフェーションにつきましては、AC Delcoのバッテリー診断チャートにより正式に掲載されています。
http://www.acdelco-japan.jp/pdf/batteries_diagnosis.pdf
上記URLの3ページ目末尾を御覧ください。


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