インチアップ時のタイヤの空気圧設定(一般公道)

純正(サイズ)ホイールに純正サイズタイヤを使用している場合は、タイヤの空気圧をドアに貼ってある基準値にあわせばよいのですが、私を含めてドレスアップ若しくはハンドリングの向上を目的としてホイール&(当然)タイヤのサイズを変更されている場合が多いと思います。


通常インチアップをするとタイヤが受けることの出来る負荷を示す負荷指数(LI)は下がってしまいます。このため、インチアップをするとタイヤの空気圧を高めにするとよく言われますが、どのくらいに設定しておけばよいのか明確な基準を知らなかったのでちょっと調べることにしました。


ここで話に出てくる空気圧はタイヤが冷えている状態(冷間)です。冷間時の温度は走行前と言うことですが…工業温度なのでおそらく20℃だと思います。
ついでに言うとモータースポーツで使われる空気圧とは走行中(温間)の空気圧です。タイヤは走行によって発熱します。タイヤ(容器)が発熱すると空気(中身)の温度は当然上昇します。温度が上昇するとサイドウォールの剛性が見た目上高くなりトレッド面のグリップが低下したり、車が跳ねるようになるそうです。このためグリップが最も優れた温度(空気圧)を保つためにモータースポーツでは温間で空気圧を設定するそうです。
とはいっても走行中のタイヤの空気圧を調節するわけには行きませんので、走行直後にタイヤ温度(空気圧も?)を計測してあらかじめ冷間で調節することによって、温間での空気圧を適正値にする…のだと思います。


モータースポーツでのタイヤの空気圧はこちら


まず、タイヤにはLIが決まっています。
タイヤが受けられる負荷はサイズと空気圧により決まっていて、それをもとにすればタイヤサイズを変更しても適正な空気圧を決めることが出来ます。


負荷指数として日本で一般的に用いられるのはJATMA(THE Japan Automobile Tyre Manufacturers Association)です。
しかし、一般に18inch以上のタイヤはJATMAの負荷指数が無い(日本車は純正ホイールのサイズが元々小さい)ためETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)の表を使用する必要があります。
何時からかは知りませんが最近はカタログを見るとタイヤの負荷指数を記載するようになっています。


また、ETRTOにて空気圧及び負荷能力を通常規格よりも高く設定したタイヤ規格がありETRTOレインフォースド規格と呼ばれています。この規格は通常規格や他のタイヤ規格の同一サイズよりも負荷指数(LI)が高くなるそうです。また同一タイヤサイズでも、空気圧に対する負荷能力が他のタイヤ規格での設定とは異なり、同一の空気圧ではタイヤの負荷能力が十分発揮されない(下がる)場合があるそうなので注意が必要です。


詳しくはタイヤパンフレット若しくはタイヤメーカーのHPに乗っていると思います。
注:JATMAとETRTOでは同じ空気圧でも負荷が異なります


JZX100 Chaser(MARKU、CRESTA) TourerVの場合

タイヤサイズ LI 空気圧(kPa) 負荷(kg) 車軸重(kg)
Front 205/55-16 89 230 565 840
Rear 225/50-16 92 240 630 640

が純正サイズのためこれを基準とします。
つまりフロントは565kg以上、リアは630kg以上の負荷を受けられるようにタイヤサイズと空気圧を選ぶ必要があるわけです。
そのときに便利になるのが下の表です。


Chaserの純正タイヤに記されているLIはJATMAのものです。
まずフロントから見るとLIは89で規定の空気圧は230kPaなのでその合わさる点(黄色)の負荷がTOYOTAが決めた負荷です。
リアを同じように見ると(緑色)の負荷となります。


インチアップ例

タイヤサイズ LI
Front 225/40-18 88
Rear 255/35-18 90

フロントのLIは88で、リアは90となりフロントは1つリアは2つ下がっています。
(このタイヤはETRTO規格)


で、ETRTOの表でフロント(LI=88)は565以上の負荷を受けられる空気圧は250kPaにすればよいことが分かります。
リア(LI=90)は630以上の負荷を受けられる空気圧は…ありません。
欲しい負荷が表に無いと言うことはタイヤメーカーが保証していないと言うことなのでこのタイヤは取り付けられない…と言うことになると非常に大変です。まあタイヤメーカーに言わせると表の中で使用してくれと言うと思いますが。


実際にメーカーに問い合わせたところ空気圧は前後とも250kPaに設定するように言われました。あくまで規格の中で使用するようにと言うことだと思います。


どうするかと言うと表を見ると空気圧を0.1kPa増加すると負荷は一般的に15増えているので、リアタイヤは270kPaにすると負荷は期待値で630と言うことになるので規格から外れていますが、これで使用することにしてみます。


空気圧の入れすぎによってタイヤに負担がかかりそうですが、メーカーに問い合わせたところ乗用車タイヤの最高空気圧は冷間で350kPaまでだそうです。因みに温間での空気圧は規格が無いそうです。
と言うことで負荷の規格からは多少外れていますが、負荷の規格からは外れていますが圧力の規格内に入っているので多分大丈夫でしょう。


あまり規格を外れて空気圧を入れるのは…となれば可能ならリアは265/35にすると表の中にあるのでこちらにするか、若しくは18inchをあきらめて17inchのフロント235/45、リア255/40にすると言う方法があります。
また、ETRTOレインフォースド規格のタイヤ(今のところYOKOHAMAのAVS Sportsと他社の一部のサイズ)にすると規格の範囲で空気圧を設定することが出来ます。

と言うように見るとインチアップ、サイズアップをしても空気圧をいくつにしようか?とあまり悩まなくてもよいと思います。

タイヤサイズ-LI対比表
16inch 17inch 18inch 19inch
サイズ LI サイズ LI サイズ LI サイズ LI
Front 205/55 89 215/45 87  91★ 225/40 88☆ 92★ 235/35 87☆ 91★
225/45 90  94★ 235/40 91☆ 95★ 245/35 89☆ 93★
235/45 93  97★ 245/40 93☆ 97★
245/45 95  99★ 255/40 95☆ 99★
Rear 225/50 92 235/40 90☆ 94★ 255/35 90☆ 94★ 265/30 89☆ 93★
245/40 91   95★ 265/35 93☆ 97★ 275/30 92☆ 96★
255/40 94   98★ 275/35 95☆ 285/30 94☆
265/40 96☆
☆:ETRTO ★:ETRTOレインフォースド規格 印無しはJATMA

JATMA
負荷(kg) 空気圧(kPa)
190 200 210 220 230 240
LI 85 450 465 475 490 500 515
86 460 475 490 505 515 530
87 475 490 505 520 530 545
88 490 505 520 530 545 560
89 505 520 535 550 565 580
90 525 540 555 570 585 600
91 535 555 570 585 600 615
92 550 565 585 600 615 630
93 565 585 600 620 635 650
94 585 600 620 635 655 670
95 600 620 640 655 675 690
 
ETRTO
負荷(kg) 空気圧(kPa) 
180 190 200 210 220 230 240 250 260 270
LI 85 350 365 385 400 415 430 445 455 470 485
86 360 380 395 410 425 440 455 470 485 500
87 370 390 405 420 435 455 470 485 500 515
88 380 400 415 435 450 465 480 495 515 530
89 385 415 430 450 465 480 500 515 530 550
90 410 430 445 465 480 500 515 535 550 565
91 420 440 455 475 495 510 530 545 565 580
92 430 450 470 485 505 525 540 560 575 595
93 445 465 485 500 520 540 560 575 595 615
94 455 480 500 520 535 555 575 595 615 635
95 470 490 515 535 555 575 595 615 630 650
JATMA、ETRTO、レインフォースドETRTOの詳しい表はこちら

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