JZA80のブレーキバランスを考える

油圧

右の図が油圧勾配を示しています。
このグラフから約2MPaまで前後のブレーキキャリパーへ伝わる油圧は等しくJZX100と同じであることを示しています。それ以上はリアの油圧がフロントより減少していきます。その減少はJZX100よりも多くなっています。


ブレーキングによる荷重移動

荷重移動により前後タイヤの荷重が変化するとタイヤの受けられる制動力が変化します。で、変化したときの理想的なブレーキバランスは右の図のようになります。重心高さが多分違いますが…


JZX100と比べるとリアの制動力が増加していることが分かります。これは車重バランスを見ると分かると思いますが、リアの静荷重が増加しているためこのようになるのです。

キャリパーブレーキバランス
これらのことを踏まえてキャリパーブレーキバランスを考察してみます。
まずパッドの摩擦係数μは0.4、定数kは0.8(多分間違ってます)、P:圧力としておきます。

JZA80
ブレーキシリンダー面積 SF2=5755mm2(フロント) SR2=2564mm2(リア)
ブレーキローター有効制動半径 rF2=131.5mm(フロント 推定) rR2=137.5mm(リア 推定)
タイヤ有効制動半径(例) RF2=319mm(225/40-18) RR2=318mm(255/35-18)

これらを計算式に当てはめると

JZA80(17inch)
Front (759.2×10-6)×2×P
Rear (354.8×10-6)×2×P
Barance 68.2:31.8

となります。
これからP&Bバルブにより油圧バランスが変わると下の図のようになります。

JZA80のブレーキバランスは右の図のようになります。

制動力計算に用いたパッドの摩擦係数(μ)や定数(k)が変化すると、実制動バランスの絶対値が異なってきますが、概ねこの傾向だと思います。

これを見ると路面とタイヤの摩擦係数が1.0という非常に理想的な状態でもかなりのフロントよりになっていることが分かります。


JZX100のブレーキバランスと比較すると、車重バランスの関係で理想制動配分曲線が異なっていますが、車体を含めたブレーキバランスでは・・・まあどちらもメーカーの作る車だけあって一定の基準を満たしたものではないでしょうか?
また、実ブレーキ曲線がこのまま上昇していくとしたら最大減速度は僅かに高くなると考えられます。タイヤが一緒だと車重が軽く最大減速度も高いのでJZX100の方が少し短い距離で止まれるのではないでしょうか?

ただし、エンジンブレーキは考えていません。(どのの程度発生するのか分からないので…)
エンジンブレーキが発生するとリアの制動力が増加することによりブレーキバランスはもう少しリア寄りになると考えられます。

まとめ
エンジンブレーキがどのくらい発生するのか分かりませんが、ブレーキのみで考えるとかなりフロントよりのブレーキバランスになっていることが分かります。キャリパーバランスは若干リアよりですが、マスターシリンダーの中にあるP&Bバルブのセッティングが大いに関係していると考えられます。

JZA80は車重バランスの関係でフロントよりのブレーキバランスになりましたが、逆にいうと前後重量配分が50:50に近ければリアの制動力を向上させることが出来…と言うかリアの制動力を向上させなければならないことが分かると思います。