JZA80キャリパー流用の注意点

JZX90・100・110等のブレーキ強化として絶好の素材がJZA80 17inch(以下JZA80)キャリパーです。純正部品なので消耗品の手に入りやすさ、パッドの選択性、フロントローターの選択性はもとより絶対的な制動力の差で様々な方が流用されております。
このキャリパーがボルトオンならば良いのですが、JZS160・161を除いてそのまま取り付けることは出来ず、Night Pager若しくはESSENTIALの偏心ナットを使用しなければなりません。


何故偏心ナットを使用しなければならないかと言うと、車体側2本のアームの長さ及びアーム幅がJZA80とは異なっているからです。
HONDAの車はこのあたりがスポーツ系車種では同じでブレーキ流用が非常に簡単だとか・・・何故TOYOTAはそのようにしてくれなかったのでしょう?話が脱線しそうなので元に戻して


と言うことで、偏心ナットを使わなければJZX系にJZA80キャリパーは流用できません。
しかしながらこの偏心ナットを使ってJZA80キャリパーを流用するとフロントローターとキャリパーが接触する確率が非常に高いそうです。私が実物を見た車では100%助手席側キャリパー上部がローターと接触していました。と言っても2台だけですが・・・


接触する場所はローター外周とキャリパーがもっとも接近している角となっており、高い確率で助手席側キャリパー上部となっており、運転席側上部は約1mm程のクリアランスがありギリギリ接触しないようです。


その接触の仕方は最初(流用直後)は接触しておらずしばらく走って少し強めのブレーキをかけると接触して少し走るとまた接触しなくなったり、装着した時点で接触していたりとまちまちです。


何故助手席側上部のみ接触するのか?何故運転席側は接触しないのか?接触する車と接触しない車の違いは?ということついては私が2台だけしか見たことが無く現時点では分かりかねるので、今ある情報を整理して考えたいと思います。
注:考えながらなのでかなり見難いことをご了承ください。m(_ _)m ゴメンナサイ


現状

不具合発生個所:フロント助手席側 ブレーキローター外周とキャリパーの端上部
不具合発生確率:100%(2/2)
JZA80キャリパー装着時上部隙間:0.5(0.7)〜1mm
JZA80キャリパー装着時下部隙間:約3mm
JZX100キャリパー上下端隙間:約3mm

こちらは助手席側フロントの画像です。
助手席側フロント上部の画像です。
こちらは一度接触してローター外周と最も接近しているキャリパー角が僅かに削れていました。
その後ショップにてキャリパーのオフセットを変更した結果右のように僅かにクリアランスが保たれています。。
このクリアランスは約0.7mmと推察されます。
助手席側フロント下部の画像です。
ローター外周とキャリパー角のクリアランスは十分に保たれており接触することは無いでしょう。また、運転席側フロント下部もこちらと同様なクリアランスが確保されています。
ここは3mm程のクリアランスに保たれています。
運転席側フロント上部の画像です。
当初より当たりそうで当たらなそうなクリアランスです。助手席側フロント上部と比べるとクリアランスは大きいです。
このクリアランスは約1mmと推察されます。
助手席側リア上部の画像です。
一般的にリアはローターと接触しないと言われていますが、この画像を見ても接触しそうに無いです。
クリアランスはフロント下部と同様に3mm程に保たれています。
助手席側リア下部の画像です。
上部と同様に十分なクリアランスが保たれています。
JZA80(17inch)Front Caliper
画像左側の足が右側に対して短くなっています。対してJZX100は足の長さ(と言うかナットの中心)は一緒(同一線上)にあります。
この足の長さ(ナット中心)の差を吸収させるために偏心ナットを使用して流用させるのです。
JZA80(17inch)Rear Caliper
フロントに対して左右の足の長さ(ナットの中心)は一緒(同一線上)にあります。JZX100でも同じとなっています。
ただし、JZX100の方がJZA80に比べて小さなボルトを使用しているのでナットのメスネジも小さな物にしなければなりません。
こちらも偏心ナットを使用して流用させる事になります。
Special thanks つ〜くんさん

考察

ローターとキャリパーが接触する可能性が高いと言うことから、車体誤差・キャリパーの製造誤差・キャリパーの品番違い・ローターの真円度不足・偏心ナットの製造誤差・偏心ナットの設計不良等が考えられます。


車体誤差について
物を作るときには誤差が100%発生します。この誤差は当然部品によって異なりますが、この場合はキャリパー取り付け用のアームが対象になります。


キャリパーの製造誤差について
こちらも車体誤差と同様と考えるべきでしょう。


キャリパーの品番違い
あくまで一つの可能性として接触した方が購入したキャリパーはSUPRA TURBOであったのでは無いでしょうか?SUPAR TURBOとはJZA80SUPRA(16inch)がJZA80SUPRA(17inch)にマイナーチェンジされる前にアメリカで発売されたものです。規制の多かった日本に先駆けて17inchホイールとビックキャリパーを装着し320PSを発生するエンジンを持った車です。SUPRA TURBOのキャリパーとJZA80(17inch)キャリパーは同じ物だとは思いますが・・・


ローターの新円度不足について
これまで接触したローターはprojectμのSCR-PROが高い確率で接触しているようですがJZA80純正ローターでも接触が発生しています。
まず、SCR-PROは2ピース構造を採用しています。これはセンター部を永久使用とし、ローター部を消耗品と考えることでバネ下重量の軽減、ローター交換時のコストダウン等の利点があります。このローターはセンター部に数本のスリットがあることから固定方法はリジットと思います。(多分)
だからと言って新円度が不足していると言うことも無いでしょうし、事実JZA80純正ローターでも接触しています。車体誤差のところでも述べたように製品には100%誤差が発生します。当然誤差の大小は問題にすべきですが、社外品が純正と比べて明らかに誤差が大きいと言うことは無いでしょう。


偏心ナットの製造誤差について
JZA80キャリパーを偏心ナットを用いてJZX100に流用すると接触する可能性が高くなっていますが、接触しない場合もあるようです。また、運転席側助手席側で不具合の発生有無があることから、もしかしたら偏心ナットの製造誤差は大きいのかもしれません。


偏心ナットの設計不良について
JZA80の(偏心ナットではない)純正のナットを見るとネジ部とナット外周部のクリアランスが僅かな余裕を残しているものの肉厚が思った以上に薄い印象を受けました。これを見て偏心ナットがどのようなものか想像すると、ネジ部とナット外周部のクリアランスは殆ど無いのでは?と考えました。ギリギリ破壊しない程度の肉厚を残しているものと思われますが真意の程は定かではありません。ナットが割れたと言う話も聞いたことがあります。まあそうなればPL法(製造物生産者責任法)があるので・・・


フロントキャリパー下部のクリアランスを見るとおそらくJZA80純正とほぼ同等のクリアランスが確保されていると考えられます。なぜ、このように考えるのかと言うとパッド端とローター端の位置を確認するとほぼツライチとなっていたからです。
因みにリアキャリパー上下部に近いパッド端とローター端の位置も同様にツライチとなっておりJZA80純正とほぼ同等のクリアランスが確保されていると考えられます。


フロントキャリパー上部のクリアランスはパッド端とローター端の位置を確認するとパッドのほうが1mm程ローター中心に寄っています。これを踏まえるとキャリパーとローターのクリアランスはJZA80純正と比べると1mm〜1.5mm程少ないと言うことに・・・
と言うことはJZA80のアームとJZX100のアームを比較すると後者のほうが上部アームが僅かに短くなっていると思います。本当かな?
アーム長さが短くなるとネジ間距離が少し長くなるので偏心ナットが必要になってきます。
偏心ナットを使う事でネジ間距離は解決したものの、アームの長さの問題が解決していないため多くの方が接触しているのではないでしょうか?現在のナットは4個すべて同じ物と聞いているので、解決方法は可能ならば左右の偏心ナットの設計を見直すことです。
左右用として2種類のナットを使うことでクリアランスを確保しやすくなるのではないでしょうか?


推測ですが、偏心ナットは運転席側をベースに型取りしているのではないでしょうか?偏心ナットの画像を見て図面を書くとそのような気がします。図面からは助手席側フロント上部のクリアランスが運転席側フロント上部のクリアランスに比べて0.2mm前後少なくなりそうです。製造誤差を含むともっと大きくなりそうですが・・・


なお、リアが何故接触しないかと言うとJZA80のキャリパー取り付けボルトとJZX100のを比べると後者のほうがボルトサイズが小さくアームピッチ&長さの差を吸収することの出来る設計が可能(=設計に余裕がある)だからです。

JZA80純正ナット
ナット周辺はローレット加工
偏心ナット
ローレット加工なし

他の項目以上に間違ってることが多そうな予感。誰か単品のJZA80キャリパー見せて〜

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