ブレンボキャリパー流用

市場に出回っているキャリパー流用キットを装着した場合のブレーキバランスを検討してみます。
まずパッドの摩擦係数μは0.4、定数kは0.8(多分間違ってます)、P:圧力としておきます。
また、路面とタイヤの摩擦係数は1.0、等減速曲線は1.0Gの場合としておきます。

F40キャリパー&φ332ローター装着
ブレーキシリンダー面積 SF1=5309mm2(フロント) SR1=2564mm2(リア)
ブレーキローター有効制動半径 rF1=140.2mm(フロント 推定) rR1=137.5mm(リア 推定)
タイヤ有効制動半径(例) RF2=319mm(225/40-18) RR2=318mm(255/35-18)

JZX100(Front&Rear) JZA80(Front&Rear) F40&φ332(Front)+JZA80(Rear)
Front (376.3×10-6)×2×P (759.2×10-6)×2×P (202%) (746.7×10-6)×2×P (199%)
Rear (167.0×10-6)×2×P (354.8×10-6)×2×P (212%) (354.8×10-6)×2×P (212%)
Barance 69.3:30.7 68.2:31.8 67.8:32.2

となります。これからグラフを書くと次のようになります。

前後JZA80キャリパー+JZX100(JZZ30)マスターシリンダー 前後JZA80キャリパー+JZA80マスターシリンダー
マスターシリンダーはJZZ30のものです。
これを見ると前後ともJZA80キャリパーを流用したのと比べてフロントの制動力が不足しており(実ブレーキバランス曲線と理想制動配分曲線が接触している)さらにリアよりのブレーキバランスになっています。
JZX100と比べて急制動時以外では理想に近いブレーキバランスになっているものの、急制動時ではフロントよりリアが先にロックする危険な状態だといえるでしょう。
マスターシリンダーはJZA80のものです。
マスターシリンダーの特性により上の状態と比べて実ブレーキバランスはフロントよりになっています。
ただし、JZA80キャリパーと比べて僅かにリアよりのブレーキバランスになっています。



F40キャリパー&φ340ローター装着
ブレーキシリンダー面積 SF1=5309mm2(フロント) SR1=2564mm2(リア)
ブレーキローター有効制動半径 rF1=144.2mm(フロント 推定) rR1=149mm(リア 推定)
タイヤ有効制動半径 RF2=319mm(225/40-18) RR2=318mm(255/35-18)

JZX100(Front&Rear) JZA80(Front&Rear) F40&φ340(Front)+JZA80(Rear)
Front (376.3×10-6)×2×P (759.2×10-6)×2×P (202%) (768.0×10-6)×2×P (204%)
Rear (167.0×10-6)×2×P (354.8×10-6)×2×P (212%) (354.8×10-6)×2×P (212%)
Barance 69.3:30.7 68.2:31.8 68.4:31.6

となります。これからグラフを書くと次のようになります。

前後JZA80キャリパー+JZX100(JZZ30)マスターシリンダー 前後JZA80キャリパー+JZA80マスターシリンダー
マスターシリンダーはJZZ30のものです。
φ332と比べるとローター有効径が大きくなると制動力が大きくなる分だけだけフロントよりのブレーキバランスになっており、φ332よりも理想的なブレーキバランスに近づいています。
しかしながら、リアよりのブレーキバランスは十分には改善されていません。
マスターシリンダーはJZA80のものです。
傾向はφ332のときと殆ど一緒です。細かく言うと5%分だけフロントよりのブレーキバランスになっています。



F50キャリパー&φ355ローター装着
ブレーキシリンダー面積 SF1=5554mm2(フロント) SR1=2564mm2(リア)
ブレーキローター有効制動半径 rF1=151.7mm(フロント 推定) rR1=149mm(リア 推定)
タイヤ有効制動半径 RF2=319mm(225/40-18) RR2=318mm(255/35-18)

JZX100(Front&Rear) JZA80(Front&Rear) F50&φ355(Front)+JZA80(Rear)
Front (376.3×10-6)×2×P (759.2×10-6)×2×P (202%) (845.2×10-6)×2×P (225%)
Rear (167.0×10-6)×2×P (354.8×10-6)×2×P (212%) (354.8×10-6)×2×P (212%)
Barance 69.3:30.7 68.2:31.8 70.5:29.5

となります。これからグラフを書くと次のようになります。

前後JZA80キャリパー+JZX100(JZZ30)マスターシリンダー 前後JZA80キャリパー+JZA80マスターシリンダー
マスターシリンダーはJZZ30のものです。
これを見ると純正と比べて全体的に制動力が向上しリアよりのブレーキバランスであることが分かります。特筆すべき点は路面の摩擦係数が1.0の時に最大減速度が1.0Gであることです。
耐フェード性もここまでローターが大きくなると大幅に向上するでしょう。
フロントとリアがほぼ同時にロックすると言う理想的なブレーキバランスですが、エンジンブレーキが入ってくると少し危険なブレーキになると思われます。
但し路面とタイヤの摩擦係数が低い状況ではブレーキバランスはあまり改善されていません。
マスターシリンダーはJZA80のものです。
JZA80を流用したものと比べてかなりフロントよりのブレーキバランスになっています。このため最大減速度は若干低くなります。

まとめ
最大減速度、耐久性を考えるとF50&φ355(Front)+JZA80(Rear)+JZZ30マスターシリンダーの組み合わせが最も優れていると考えられますが、エンジンブレーキを考えたときや路面とタイヤの摩擦係数を考えたときには少し疑問です。
フィーリングと全天候性も考えるとF40&φ340(Front)+JZA80(Rear)+JZA80マスターシリンダーでしょうか?

実際はブレンボキャリパーはJZA80キャリパーと比べてブレーキ効率(定数)が高いでしょうし、パッドももっと摩擦係数の高いものを使用するでしょうからあくまでキャリパーの諸元を比較したものと言うことです。ブレーキ効率、パッドの摩擦係数が変化した場合のブレーキバランスについてはこちらをご覧ください。

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