ブレーキ要素比較

ここではブレーキの各パーツを比較してみたいと思います。


フロントローター外径比較

キャリパー&マスターシリンダーはJZA80でフロントローターが通常のφ323とφ296(JZX100純正相当)とφ355と変化したときのブレーキバランスを比較したいと思います。なおリアローターはJZA80純正のままとしておきます。
ローター外径が小さくなると制動力が減少し、大きくなると増加しますがどのくらい変化があるのかを見たいと思います。
実際にどのような状況でこのようになるかというと、キャリパーオフセットキットなどを使用した場合に相当すると思います。
なお、パッドの摩擦係数は0.4、定数は0.8です。

JZA80キャリパー&マスターシリンダー&φ296です。
フロントの制動力が減少しているためリアよりのブレーキバランスになっています。またJZA80純正と比べて理想制動配分曲線に近くなっており、それに伴い最大減速度も増加しています。
最大減速度はローター比較の中で最も高く1.0Gです。

実ブレーキバランス曲線は、マスターシリンダーの関係でこちらの方が中間域でブレーキバランスがリアよりになっていますが、F50&φ355(Front)+JZA80(Rear)+JZX100マスターシリンダーと非常に近くなっています。ローター外径が小さくなっているので耐久性は減少しているでしょう。
しかし、エンジンブレーキが入ってくるとリアが先にロックしやや危険な状態です。
JZA80キャリパー&マスターシリンダー&φ323(要はJZA80純正)です。
詳細はブレーキバランスチューニング(JZA80キャリパーの流用)で取り上げたのでこれを基本にします。
因みに最大減速度は約0.95Gとなります。
JZA80キャリパー&マスターシリンダー&φ355です。
フロントの制動力が増加しているのでさらにフロントよりのブレーキバランスになっています。またJZA80純正と比べて最大減速度も僅かに減少しているいわゆるフロント効きのブレーキになっています。
このときの最大減速度は約0.93Gとなります。
当然リアのローター外径が大きくなるとリアよりのブレーキバランスになり上の線は変化します。

ブレーキパッド摩擦係数比較

ブレーキパッド摩擦係数は純正パッドでだいたい0.3〜0.4、スポーツパッドでは0.4〜0.5の物が一般的なので、前後同時に0.3・0.4・0.5に交換した場合、ブレーキバランスがどのように変化するか考えてみたいと思います。
なおキャリパー&マスターシリンダーはJZA80、定数は0.8です。

摩擦係数は0.3の場合でのブレーキバランスです。
摩擦係数が低下することによりフロントよりのブレーキバランスになっていることが分かります。
何故こうなるかと言うと摩擦係数を低くしているために全体的に制動力が減少します。減少すると同じ制動力を得るためにより高い油圧(高い脚力)を必要します。マスターシリンダーの油圧勾配は油圧が高くなるにつれてフロントよりのブレーキバランスになるために結果的にフロントよりのブレーキバランスになると考えられます。
このため最大減速度は約0.93Gとなります。
摩擦係数は0.4の場合でのブレーキバランスです。
これはブレーキバランスチューニング(JZA80キャリパーの流用)で取り上げた摩擦係数なのでこれを基本にします。
摩擦係数は0.5の場合でのブレーキバランスです。
摩擦係数が増加するとリアよりのブレーキバランスになります。
何故こうなるかは摩擦係数が0.3の時と逆に同じ制動力を得るにはより低い油圧で良くなります。
マスターシリンダーの油圧勾配は油圧が低くなるにつれてリアよりのブレーキバランスになるため結果としてリアよりのブレーキバランスになると考えられます。
このため最大減速度は約0.96Gとなります。

制動定数比較

制動力を算出する際の式には定数(ブレーキ効率)が含まれます。これはキャリパーピストンに油圧が発生してピストンがパッドをローターに押し付けると言う一連の流れでどれだけ油圧がロス無く制動力を発生させるかによって決まります。
定数が低くなると発生させた油圧が制動力にきちんと変換されず、逆に高くなるとロス無く制動力が発生します。
これがどういう状況かと言うとローターが歪んでいたり、キャリパーが開いていたり・・・要はマスターシリンダーが発生させた油圧がパッドがローターをはさむ力に十分伝わりきっていない(どこかでロスがある)状況だと思います。ちょっと言葉を濁した言い方ですが、考えられる状況が多すぎるので…
まあ、これを1に近づけるために異型ピストンや対向キャリパーやステンメッシュブレーキホースにするわけです。
定数が実際にどの範囲にあるのか分かりませんが極端な例として0.3・0.5・0.8・0.95の4種類で比較したいと思います。
なお、キャリパー&マスターはJZA80、パッドの摩擦係数は0.4です。

定数は0.3の場合でのブレーキバランスです。
かなり極端な例(と言うかありえないかもしれませんが)ですが、ブレーキバランスはフロントより…と言うより絶対的な制動力が不足しています。
あまりあれこれ言う必要は無いほどいわゆる“最悪“の状態でしょう。
たとえて言うならばローターがたがた、キャリパー開きっぱなしと言う状況でしょうか?
定数は0.5の場合でのブレーキバランスです。
あまり良くない状態です。ブレーキバランスはフロントよりになっており最大減速度が低い割に踏力を必要とすると思います。
定数は0.8の場合でのブレーキバランスです。
これはブレーキバランスチューニング(JZA80キャリパーの流用)で取り上げた摩擦係数なのでこれを基本にします。
定数は0.95の場合でのブレーキバランスです。
かなり理想的な状態ですが、ブレーキバランスはリアよりになっています。効率(定数)が向上した分脚力はあまり必要とされないのに制動力が発揮されています。
定数が低下するとブレーキバランスはフロント寄りになりますが、ひどい状態だとそれ以前に制動力が低下します。定数が向上するとブレーキバランスはリアよりになり理想制動配分曲線に近づくことによりフィーリングが良くなると考えられます。
当然フロントとリアの定数に差があれば上で書いた線は変化します。

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