UCF30キャリパー流用の注意点

JZX90・100・110等のブレーキ強化としてJZA80 17inchキャリパー流用が一般的に行われてきましたが、30系へとフルモデルチェンジしたセルシオのキャリパーは数多くの技術が投入され他のキャリパーと比べて数多くの利点があるため各ショップが様々な車種への流用キットを販売しています。


このキャリパーはTOYOTAがSEIへ依頼しSEIの技術が余すこと無く投入されたキャリパーです。まず、キャリパー本体はアルミモノコック構造とし大幅な軽量化達成しつつをキャリパーの開きに対して非常に強くされ、デリバリーパイプはキャリパー本体鋳込みとし石はね等の損傷から非常に強く・・・e.t.c.
モノコック構造のキャリパーは現在のところbremboのレーシングキャリパーとSEIのキャリパーしか無い(と思います)でしょう。他のブレーキメーカーに言わせるとキャリパーピストンシリンダー部の加工はモノコック構造だと出来ないとか・・・だとするとそれが出来て尚且つコストダウンの進んだSEIのキャリパーはすごいと言うことでしょう。TOYOTAのコストダウン命令もものすごいのかもしれませんが(^▽^笑)
またキャリパーの取り付け方法はJZA80(17inch)のように一体型ではなくbremboのようにブラケットを介して車体に取り付ける方法を取っています。さらに純正品と言う事で信頼性向上(?)のためか2つのノックピンがキャリパーから生えているそうです。このノックピンはキャリパーのがたつきを抑える事を目的としているだけにサブミクロン(1/1000mm)の加工精度を要求されるそうです。


このように優れたキャリパーですが残念な点が一つ・・・ローター直径が小さい!と言ってもφ316あります。
JZA80(17inch)のφ323に比べ半径で3.5mmほど小さいのですが、性能とコストパフォーマンスに優れていると言う事で現在NightPager、BrashBoy等のチューニングショップから流用キットが販売されています。また本家本元TRDからも各車種モノブロックキャリパーキットを販売されています。


良さそうな流用キットですが、気になる点がいくつかあります。
まず、流用キットの多くは元々付いているキャリパーのノックピンを削り落としてしまう事です。既に述べたようにノックピンはブレーキングによるキャリパーのがたつきを抑えるためにあるのにこれを削り落としてしまうとは・・・せっかくSEIが気合を入れて作ったノックピンを削り落とすのはちょっと・・・と思います。なおTRDのキットは未確認ですが、ノックピンはそのまま使っているようです。まあbremboをはじめとする各ハイパフォーマンスブレーキキットに同様なノックピンがあるのかといわれると悩んでしまいます。ノックピンは無くてもいいのかもしれませんが、ここはSEIに敬意を表してTRDを見習って各ショップさんもノックピンを生かすような物を作ってもらいたいものです。ただ、精度が精度だけにブラケットだけでも結構なお値段しそうです。ちなみにTRDが作るとブラケット片方で\34,000、キャリパーは片方で\120,000だそうです。


つぎに、JZA80(17inch)キャリパーで問題になったローターとキャリパーの接触です。UCF30のローターとJZA80(17inch)のローターとは半径で3.5mmの差がありますが、これがどの程度影響するのか?興味があって簡単に図面を書いてみました。するとパッドの当たりを純正とほぼ同じとしつつφ323ローターを使用した場合、ローター外周とキャリパー端のクリアランスは1.62mmとなるようです。(注:純正のクリアランスは3mmと勝手に考えている)まあブラケットの誤差が少なければ当たらないと思いますが、JZA80(17inch)キャリパーの二の舞にならないとも限りません。もっともJZA80(17inch)の方は偏心ナットがギリギリの設計となっているのに対して、ブラケットを介するので設計に余裕がありますが・・・TRDはキャリパーを一から設計しなおしたそうで接触は皆無でしょう。


あと、現時点ではパッドの選択肢が殆どありません。TRDのスポーツパッドもUCF30用はラインナップされていません。ブレーキメーカーからもスポーツ用のパッドが出ていないようです。今後出てくる可能性は十分にある・・・と思うのですがちょっと分かりません。まあBLITZがPAGIDにスポーツパッドを作るよう依頼しているのでこれがあればサーキット走行でも十分耐えられると思いますが・・・


持っているものは優れているのに・・・まるでどっかのメーカーの車作りのようです。私は別に批判をしているわけではないのであしからす。ちょっと気になる事があるのでそこを何とかして欲しいな〜と思っているだけです。

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